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不可解な判定で勝利を盗まれたかつてのパウンド・フォー・パウンドの弟子

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
2戦連続ドローとなったペレーラ(右)(C)Esther Lin/SHOWTIME

 かつてのパウンド・フォー・パウンド、ロイ・ジョーンズ・ジュニアの指導を受けるブライヤント・ペレーラが、昨年4月17日以来のリングに上がった。前回のファイトに続き、今回もドローであった。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
(C)Esther Lin/SHOWTIME

 対戦相手のケビン・サルガドは14戦全勝9KOの24歳。17勝のうち14KOの強打を誇りながらも、3敗している33歳のペレーラは、引き立て役を宛がわれているように見えた。

ロイ・ジョーンズ・ジュニアの教えを受けるペレーラ  (C)Esther Lin/SHOWTIME
ロイ・ジョーンズ・ジュニアの教えを受けるペレーラ  (C)Esther Lin/SHOWTIME

 しかしペレーラのジャブは鋭く、ジョーンズの教えが体に染み込んでいるかのようだった。5回には左アッパーをヒットし、サルガドをグラつかせる。

 一方のサルガドはメキシカンらしく接近戦を好み、ボディブローを何度も放った。

 97-93でペレーラ、96-94でサルガド、そして95-95というスコアで両者は引き分けた。

 試合後、ペレーラは言った。

 「作戦も、実行も非常に上手くいったと感じている。賢く戦えたし、ヤツの膝も折った。逃げずに打ち合ったよ。彼の力を込めたパンチは大振りだった。だから私は的確にジャブを上下に当てていったんだ。ダメージを負っていたのは向こうだし、ポイントは間違いなくとったと思うんだが…。

 ベストを尽くしたし、この結果は納得できない。2つもドローが並んでしまうなんて。勝利を盗まれた思いだ。勝ったのは自分だ」

 筆者の目にもペレーラの勝ちに見えた。彼はリングに戻ってくるだろうか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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