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台風のシーズン予想 日本とアメリカ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2012年 台風15号とハリケーン・サンディ

台風3号、そして台風4号、続けて本州に接近し、今年は台風が多くなるのかと思っている方も多いでしょう。2度あることは3度あるというものの、今週は日本に影響しそうな台風はなさそうです。ホッと一安心。

今年の台風は多いのか、少ないのか。さらに、上陸する台風の数は?

台風は最大級の気象災害を引き起こすため、関心が高い出来事ですが、残念ながら、日本では台風のシーズン予想はしていません。ただ、今年は台風が発生する海域で、例年以上に雲が発生する可能性があります。

なんだか、もどかしい言い方ですが、台風の発生には熱帯の海と大気が複雑に絡み合っていて、今の天気予報技術では、台風の卵の予測が難しい。雲ができるからと言って、それが台風になるのか、ならないのか、判断ができないのです。台風の発生に大きな影響がある「北半球夏の季節内振動BSISO」が予測できるようになれば、日本でも台風のシーズン予想ができるようになるかもしれません。

一方、6月はアメリカでもハリケーンシーズンの始まりです。

2013米ハリケーン予想

アメリカでは5月の最終週を「ハリケーン準備ウイーク」として、国民に対してハリケーン被害に備えるよう呼びかけます。それにあわせて、米海洋大気庁は今シーズンのハリケーン予想を発表します。それによると、名前のつく熱帯低気圧(日本の台風に相当)の発生数は13~20個で、そのうちハリケーン(日本の強い台風に相当)まで発達するのは7~11個と予想しています。また、その精度は70%としています。

例年では、名前のつく熱帯低気圧が12個、そのうちハリケーンになるのは6個ですから、今シーズンの発生数はかなり多くなるようです。米関係機関は最大限の警戒を呼びかけています。ちなみに、日本では一年間に約26個の台風が発生します。アメリカと比べると、その差は2倍、日本の南は世界で最も熱帯低気圧が発生する場所なのです。

台風予想の最前線

日本の台風予想は1952年(昭和27年)に始まり、今年で61年になります。現在では、24時間先の予想誤差は約100キロ、30年前の半分になりました。それでも、100キロといえば、富士山と東京スカイツリーくらいの距離があり、5日先の予想誤差は約500キロに拡大します。

でも、スーパーコンピュータを使った台風予想は着実に向上していますから、気象情報を上手に利用すると、一週間前からでも予定を立てることができます。今後も、折に触れて、台風情報の利用方法をお話ししたいと思っています。

【参考文献】

ハリケーン予想を詳しく知りたいかたへ

米海洋大気庁(NOAA)

NOAA predicts active 2013 Atlantic hurricane season

北半球夏の季節内振動を詳しく知りたいかたへ

前田修平,2013:熱帯季節内変動とその影響.平成24年度季節予報研修テキスト,気象庁地球環境・海洋部,112‐122.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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