台風のシーズン予想 日本とアメリカ
台風3号、そして台風4号、続けて本州に接近し、今年は台風が多くなるのかと思っている方も多いでしょう。2度あることは3度あるというものの、今週は日本に影響しそうな台風はなさそうです。ホッと一安心。
今年の台風は多いのか、少ないのか。さらに、上陸する台風の数は?
台風は最大級の気象災害を引き起こすため、関心が高い出来事ですが、残念ながら、日本では台風のシーズン予想はしていません。ただ、今年は台風が発生する海域で、例年以上に雲が発生する可能性があります。
なんだか、もどかしい言い方ですが、台風の発生には熱帯の海と大気が複雑に絡み合っていて、今の天気予報技術では、台風の卵の予測が難しい。雲ができるからと言って、それが台風になるのか、ならないのか、判断ができないのです。台風の発生に大きな影響がある「北半球夏の季節内振動BSISO」が予測できるようになれば、日本でも台風のシーズン予想ができるようになるかもしれません。
一方、6月はアメリカでもハリケーンシーズンの始まりです。
2013米ハリケーン予想
アメリカでは5月の最終週を「ハリケーン準備ウイーク」として、国民に対してハリケーン被害に備えるよう呼びかけます。それにあわせて、米海洋大気庁は今シーズンのハリケーン予想を発表します。それによると、名前のつく熱帯低気圧(日本の台風に相当)の発生数は13~20個で、そのうちハリケーン(日本の強い台風に相当)まで発達するのは7~11個と予想しています。また、その精度は70%としています。
例年では、名前のつく熱帯低気圧が12個、そのうちハリケーンになるのは6個ですから、今シーズンの発生数はかなり多くなるようです。米関係機関は最大限の警戒を呼びかけています。ちなみに、日本では一年間に約26個の台風が発生します。アメリカと比べると、その差は2倍、日本の南は世界で最も熱帯低気圧が発生する場所なのです。
台風予想の最前線
日本の台風予想は1952年(昭和27年)に始まり、今年で61年になります。現在では、24時間先の予想誤差は約100キロ、30年前の半分になりました。それでも、100キロといえば、富士山と東京スカイツリーくらいの距離があり、5日先の予想誤差は約500キロに拡大します。
でも、スーパーコンピュータを使った台風予想は着実に向上していますから、気象情報を上手に利用すると、一週間前からでも予定を立てることができます。今後も、折に触れて、台風情報の利用方法をお話ししたいと思っています。
【参考文献】
ハリケーン予想を詳しく知りたいかたへ
米海洋大気庁(NOAA)
NOAA predicts active 2013 Atlantic hurricane season
北半球夏の季節内振動を詳しく知りたいかたへ
前田修平,2013:熱帯季節内変動とその影響.平成24年度季節予報研修テキスト,気象庁地球環境・海洋部,112‐122.