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「日本の進歩はザッケローニのおかげ」 稀代の名将が称賛、森保ジャパンの「恐るべき」特長

中村大晃カルチョ・ライター
2022年12月1日、カタールW杯スペイン戦での日本代表の森保一監督(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

イタリアの名将アッリーゴ・サッキは、日本がドイツに勝ったのは「サプライズ」ではないと指摘していた。スペインも撃破したことに、彼が驚いたかは分からない。確かなのは、サッキは日本の躍進をフロックと見てはいないということだ。

カタール・ワールドカップ(W杯)はドイツやベルギー、ウルグアイといった国が早々に敗退。決勝トーナメントに進出した16チームの内訳は、欧州が8、アジアが3、南米とアフリカが各2、そして北米のアメリカとなった。日本を含むアジア勢などの台頭は、大きな注目を集めている。

12月4日付『Gazzetta dello Sport』紙コラムで、サッキは欧州と南米を除く6チームの勝ち上がりが、「いかに世界のいたるところでサッカーが進化しているかを示している」と指摘した。

「これまでより勝利を収めてきた『歴史的』な国々は、この世界秩序の様相に多くの注意を払うべきだ。アイディアは伝播しており、誰でも手が届く。そして誰にでもそれらを活用できる可能性がある。早くに更新していかないと、おしまいなんだ」

サッカー界をけん引してきた大国による影響が、かつての絶対的序列を脅かしつつあるというわけだ。サッキは日本の躍進に同胞アルベルト・ザッケローニの影響も大きいと主張している。

「技術的進歩は疑いなく、さらに組織レベルでも大きく前進しているのは確かだ。日本はザッケローニのかの国における長い経験のおかげで大きな進歩を遂げた」

サウジアラビアや日本の大国撃破を「偶然の勝利なはずがない」と指摘したサッキは、「仕事や努力、この上なく走って互いのために犠牲を払う選手たちの熱意が土台」とも記している。

「代表チームにおける本質的なクオリティーであるスピリットやユニフォームへの愛着が見える」

決してただの精神論ではないだろう。チーム一丸とならずに勝ち上がれる世界ではない。サッキは日本に関してこうも評した。

「まだ浮き沈みがあり、常に行動に継続性をもたせられてはおらず、高いレベルの試合を多くこなさなければ得られない経験も持ち合わせていない。だが、楽譜を実行するとなれば恐るべきほどだ。裏切ることはほとんどない。もしも自分がクロアチアの監督なら、大きな注意を払うだろう」

日本のサッカーは、世界のエリートクラスに追いついていないかもしれない。だが、稀代の名将がクロアチアに警鐘を鳴らしているのも確かだ。サッキはコラムをこう締めくくっている。

「考え方が普及したおかげで、グローバル化したサッカーでは、舞台に立って間もない者が、ずっと以前からその舞台を踏んでいる者を困らせることができるのだ」

困らせる、を上回ることはできるのか。日本はまもなく、悲願のベスト8を目指す決戦に臨む。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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