トマトサラダにイチゴのドレッシング。結の半生を象徴するメニューで年末を締めくくる「おむすび」
結の人生を『献立』で描きだしたことに宇佐川CPは震えた
朝ドラこと連続テレビ小説「おむすび」(NHK)の年内の放送が終了した。第65回でちょうど半分。結(橋本環奈)が、野球選手の道を絶たれ結を幸せにできないと結婚を諦めようとする翔也(佐野勇斗)に逆プロポーズするという、後半戦が楽しみになる場面で前半戦を締めくくった。
注目は、結の料理。翔也にはじめて作ったお弁当の豚と玉ねぎのニンニク炒めをはじめとして、トマトやイチゴも高校時代の翔也との思い出のもの。サラダにイチゴのドレッシングというのが洒落ていた。
台本を作るうえで、ここから逆算して前半にトマトやイチゴを出したのか、それとも、トマトやイチゴのメニューにしようとこの回を書くときに思いついたのだろうか。制作統括の宇佐川隆史チーフプロデューサーに聞いてみた。
「このシーンについては、脚本家の根本さんが脚本に献立を書き込み、さらには演出とも詳しく打合せをして、翔也との思い出である『イチゴを使ったドレッシング』に決定。そして、消え物担当の広里貴子さんが、味も見た目も素敵な『イチゴのドレッシング』を完成させました」
宇佐川さんは台本を読んだとき、震えたと言う。
「結が献立でこれまでの半生を振り返る脚本のアイデアを根本さんから見せてもらったとき、震えました。糸島の実家の台所で、結の人生を見出す。素晴らしいなと思いました。結の人生を『献立』で描いたことに、根本さんが思う、『食』と人とのつながりの深さというものを描き切ろうとしている。そう改めて感じたんです」
根本さんのご両親は飲食業を営んでいたそうで、根本さん自身も飲食に思い入れがある。以前、インタビューでも、食べる場面をよく書くと語っていた。台本でも食べ物のことをスタッフ任せにしないで、自ら書き込んでいるそうだ。
そして、ラストシーン、米田家の食卓のお皿が3つ(永吉、佳代、結)にプラスして4つに増える。「根本さんが演出と話し合い、お茶碗が増えるという表現をしました」
年明けは「結婚って何なん?」
家族が増えるイメージがわいて、ほっこりした気持ちで年を越せそうな終わり方にした経緯を宇佐川さんはこう語る。
「2024年の終わりの放送ではどんなことを描くのがいいかと考えたとき、やっぱり『人生』かなと思いました。誰しも上り調子のときもあれば下がり調子のときもありますよね。まさに第12、13週はその縮図のようで、結は仕事で上がり調子になってきたところですが、翔也は下がっている。ふたりを通して人生の悲喜こもごもが見えてくれば、と思っていました。『働くって何なん?』『幸せって何なん?』と問いかけてきて、年明けは『結婚って何なん?』なのですが、年末年始の放送である第12〜14週にかけて、人生について考えていくという週になっています。いろいろな登場人物の様々な側面から人生の浮き沈みを見守って頂けたらと思っています」
年明けからの「おむすび」の新展開も楽しみにしたい。
連続テレビ小説「おむすび」
毎週月~土曜 午前 8時00分(総合)※土曜は一週間を振り返ります
/ 毎週月~金曜 午前 7時30分(NHKBS・BSP4K)
【作】 根本ノンジ
【主題歌】 B’z 「イルミネーション」
【語り】 リリー・フランキー
【音楽】 堤博明
【出演】 橋本環奈 仲里依紗 佐野勇斗 麻生久美子 宮崎美子 北村有起哉 松平健 ほか