ドイツLilium、世界初の電動型垂直着陸テスト飛行に成功:2025年には「空飛ぶタクシー」実現へ
ドイツのLiliumは2017年4月に、世界初の電動型の垂直離着陸(VTOL:Vertical Take-Off and Landing)のテスト飛行に成功。ミュンヘン近郊で行われたテスト飛行の際の動画も公開した。
Liliumでは2019年には人が乗車しての試験を行い、2025年には「空飛ぶタクシー」の実用化を目指している。エアバスやUberなど世界中で多くの企業が「空飛ぶタクシー」のコンセプトを発表し、開発に着手しているが、電動型の垂直離着陸の成功したのはLiliumが世界初とのことだ。36個のジェットを搭載し、再生可能電力を100%活用。バッテリーで連続186マイル(約300 km)の飛行が可能で、最大速度は186マイル(約300 km/h)。現在は2人乗りだが、5人乗りのコンセプトも出している。
以下が2017年4月に公開されたテスト飛行の動画。
「速くて・安い」を目指す「空飛ぶタクシー」
Liliumではスマホで簡単に呼べて、さらに速くて、安い「空飛ぶタクシー」のサービス提供を目指している。同社によるとニューヨークのJFK空港からマンハッタン中心部までを5分で飛行。費用も36ドル(約4,000円)で乗車できることを目指している。なおタクシーでは約1時間で、56ドル~73ドルかかる。
ニューヨークにはインド系のタクシー運転手が多く、英語がわかりにくいことも多いが、それでもタクシーは地上を走るので目的地までピンポイントで届けてくれる。だが「空飛ぶタクシー」の場合、着陸できるビルの屋上に到着し、そこから目的地まではまたタクシーや徒歩での移動が必要になってしまう。そのためにも今後は「空飛ぶタクシー」の開発以外にも、実用化に向けては離着陸可能な場所の確保と設置も重要だ。
どれだけ料金が安くなろうとも、時間が短縮されようとも、利便性が悪いと誰も利用しない。これからの建設されるビルは屋上が全て飛行場になるかもしれない。さらに「空飛ぶタクシー」導入に向けては各国で規制の対応も必要で、これが一番時間がかかるだろう。それでも「空飛ぶタクシー」はもはや夢物語でなく、実現に近づいてきた。