オスロ市民が米国大使館前に追悼の花束 憎しみの連鎖に動揺
フロリダ州のナイトクラブで起きた銃の乱射事件を受けて、オスロ市民が米国大使館前に追悼の花束を供えた。13日19時、大使館前には約150人が足を運んだ。ジェンダーとセクシュアリティの自由を訴える団体と大使館代表が短い言葉を述べた後、1分間の黙とうが捧げられた。
2011年に77人の命が奪われた連続テロを経験したノルウェーにとって、他国での悲劇は他人事ではない。絶えることのない事件に胸を痛め、ノルウェー連続テロで知人を亡くした人も米国大使館前で花を供えていた。
ゲイプライドの主催者は、今年も予定通りにイベントを開催予定。25日はオスロの大通りで大規模なパレードが開催される。アメリカでの銃乱射事件を受けて、オスロ警察は警備の強化を発表。警察官は毎年パレードにも自ら参加し、性の多様性を支持している。
イスラム教徒に否定的な進歩党党員の多くは、一部を除いて発言に慎重
イスラム教徒の入国を禁止すべきだという主張を正当化するドナルド・トランプ氏の発言は、ノルウェーでも大きく報道されている。トランプ氏と比較されやすい、移民・難民やイスラム教徒に否定的なノルウェーの与党・進歩党。移民・社会統合大臣をはじめとする多くの進歩党党員は、追悼の意を表するコメントをSNSに投稿した。進歩党は、同性愛者を否定していない。
しかし、進歩党オスロ支部の政治家クリスチャン・イェッデ氏は、米国大使館前で花を添えるとともに、「憎しみとイスラム。オーランドでの同性愛者への攻撃には、イスラムが関係している」と、自身のフェイスブックで、難民・移民の寛容的な受け入れを訴える政党の党首たちを名指しした。進歩党の元党首であるカール・I・ハーゲン氏は、特にイスラム教徒や難民に否定的な発言で知られている。銃乱射事件の直後、「進歩党の主張は正しかったと認めよう」とする過去の報道記事をフェイスブックでシェアした(その投稿は、現在削除されている)。
今回の事件を受けて、同性愛者を支持するプライドパレードには、さらに多くの人々が参加予定とみられている。
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Photo&Text: Asaki Abumi