車運転中の突然死を防ぐために~鶴ひろみさんの死から考える
高速道路で
え?ドキンちゃんが…ブルマが…
声優鶴ひろみさんが高速道路の車内で意識不明で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。享年57。人気声優さんの突然の死に、衝撃は大きい。ご冥福をお祈りする。
運転中にいったい何があったのか。死因が明らかになる前、「情報ライブミヤネ屋」からの取材に、私は死因の可能性がある病気として、心臓(心筋梗塞など)、脳(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、血管(大動脈解離)を挙げた(参考;急性死の症例100;名古屋大学出版会、1998)。
所属の青二プロダクションから死因が発表された。
大動脈剥離という医学用語はないので、おそらく大動脈解離のことだろう。大動脈解離とは、動脈硬化などでもろくなった大動脈の壁が割けて、そのなかに血液が流れ込む病気だ。血管の壁を破ったり、あるいは心臓の周りに血液が流れ込むと亡くなることがある。
背中などに激痛を感じ、意識が消失することもある。運転中に発症すれば大事故になることもある。
梅田の事故との類似点
運転中の大動脈解離で思い出すのが、2016年に大阪梅田で起こった交通事故だ。
運転中の突然死は防げるか?梅田事故の衝撃で論じたように、運転中に病気が発症したために交通事故が発生することが少なからずある。自動車運送業対象の調査では、運転中の病気が原因で2009年から2012年までに497件の事故が発生しており、143人が死亡している。
という。上記資料では、運転中の大動脈解離もしくは大動脈瘤で14名が死亡しているとある。
発症を防ぐためには?
運転中の病気による事故を防ぐためにはどうすればよいだろうか。
まず第一にすべきは、健康管理に気を付けることだ。体の小さな異変に耳を傾け、早期に対処することを心がけるべきだろう。
そんなの当たり前だ、と言われるが、その当たり前が重要だ。
大動脈解離発症は突然起こり、前兆がないことも多い。しかし、普段から血圧が高いなど、大動脈解離発症に至るまでには様々な前兆がある。早期にそうした異変に対処し、健康管理をしていくべきだ。
アメリカでは、仕事で運転をする人で、血圧が高い人には運転の制限を行うという。
こうしたことも検討する必要があるかもしれない。
発症しても事故を防ぐ
しかし、そうはいっても暮らしていくために車に乗らざるを得ない人は多い。いくら健康管理していても、発症する場合がある。
その場合には、発症しても大事故にならないようなテクノロジーが必要だ。
国土交通省の上記報告書は以下のように述べる。
鶴さんは、おそらく激痛のなか、事故を避けるために懸命に努力していたのだろう。車はハザードランプが点滅していたという。
命つきる最後まで、周囲に気を配った鶴さんの死を無駄にしないためにも、一般ドライバーも含めた運転中の発病の対策がより進むことを願う。