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階級を上げた井上尚弥 王者フルトンが過去最強の相手と言われる所以とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:REX/アフロ)

ボクシングバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(29=大橋)が、スーパーバンタム級2団体統一王者スティーブン・フルトン(28=アメリカ)と春頃に対戦すると報道があった。

フルトンについて

対戦相手のフルトンは、現WBC・WBO世界スーパーバンタム級統一王者で、ここまで21戦無敗(8KO)で勝ち上がってきた。

身長169cmで、179cmの長いリーチを持ち、懐が深くスピードがありパンチを当てるのが上手いボクサーだ。

パワーがあるわけではないが、長いストレートやアッパー、フックなど多彩なパンチを打つ。接近戦での戦いも得意で、劣勢になっても途中でゲームプランを変えて勝利してきた。

2021年に元WBO王者の無敗のアンジェロ・レオから初となるタイトルを奪い世界王者となった。その後は統一戦でブランドン・フィゲロア、防衛戦では元統一王者のダニエル・ローマンなどの実力者にも勝利してきた。

減量苦を理由にフェザー級に上げる話もあったが、今回井上との対戦が報道されている。正式に試合が決まれば、フルトンにとってキャリア最大のビッグマッチとなるだろう。

階級の違い

階級を上げたばかりの井上と、階級を上げようとするフルトンではサイズの違いも出てくるだろう。体格の違いというものは、単にパワーの違いだけではない。

耐久力の違いはもちろん、フルトンの場合、リーチが長くディフェンスのスキルも高いため、これまで通用していたパンチが効かなくなる可能性もある。また、パンチの角度の変化による当てづらさや、近距離での押し合いによるスタミナの消費など、自分のペースに持ち込むのでさえ難しい。

井上は9割近くのKO率を誇るのに対し、フルトンはKO率は4割ほどだ。長丁場の戦いに慣れておりポイントアウトで判定で勝つことを熟知している。一筋縄ではいかないだろう。

その辺りを考慮してもフルトンは井上がこれまで戦った相手の中で、一番の強敵と言っても過言ではない。

スーパーバンタム級の統一

海外でも評価が高くアメリカで活躍しているフルトンに勝てば、井上の名はさらに知られるようになるだろう。

まだ先の話ではあるが、井上がフルトン戦をクリアしたら対抗王者で2団体統一王者(WBA&IBF)のアフマダリエフとの対戦も見えてくる。

アフマダリエフは4月に指名挑戦で同級1位のマーロン・タパレスと対戦が決まっている。

アフマダリエフをサポートしているマッチルームのエディー・ハーン氏は、井上が勝利すれば今年中に4団体統一戦を実現させると明言している。

井上とアフマダリエフが共に勝利することが前提ではあるが、実現の可能性は高い。バンタム級では、王座の統一に4年7ヶ月を要したが、スーパーバンタム級では早ければ1年で成し遂げられる。

井上は強すぎて対戦相手が見つからない時代から、対戦が望まれる存在となった。軽量級ながら全階級最強を決めるパウンドフォーパウンドランキングで上位にランクされ、全世界の中でも注目度が高い。

そんな井上に勝てば世界的な評価を手に入れることができ、多額のファイトマネーが手に入る。

今年で30歳になる井上だが、ここから先は井上が求める試合が実現していくことになるだろう。井上の快進撃はこれからが本番だ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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