レアル・マドリーのヴィニシウスの「急成長」とクルトゥワの鉄壁感。「守備重視」するジダンの策とは?
レアル・マドリーの「手堅さ」は健在だ。
昨季、クラブ史上34回目のリーガエスパニョーラ制覇を成し遂げたマドリーだが、その要因は守備力にあった。マドリーの38試合25失点はアトレティコ・マドリー(27失点)、セビージャ(34失点)、ヘタフェ(37失点)を抑えてリーガトップの数字だった。
ジネディーヌ・ジダン監督率いるチームの堅固な守備は今季に突入しても変わっていない。リーガ開幕から3試合で、2試合においてクリーンシートを達成している。
その最大の功労者はGKティボ・クルトゥワだろう。昨季、クルトゥワは34試合20失点でサモラ賞(最優秀GK賞)に輝いた。2018年夏、ベルギー代表として臨んだロシア・ワールドカップでゴールデングローブを受賞して鳴り物入りでチェルシーからマドリーに移籍した守護神が、本来のパフォーマンスを見せられるようになった。
クルトゥワが安定したプレーをするようになった背景には、ケイロール・ナバスの移籍がある。長く、ジダン監督にとって正守護神はK・ナバスだった。過去には、ジダン監督の考えを尊重したマドリーがケパ・アリサバラガ(現チェルシー)の獲得を見送ったことがある。
2018年夏以降、マドリーではK・ナバスとクルトゥワの「正GK論争」が続いていた。だがマドリーは2019年夏にK・ナバスを移籍金1500万ユーロ(約18億円)でパリ・サンジェルマンに売却。絶対的なレギュラーとなったクルトゥワが真価を発揮する環境が整った。
■ヴィニシウスのアピール
マドリーは今夏、ガレス・ベイルがトッテナムにレンタル移籍した。また昨年夏に移籍金1億ユーロ(約120億円)で加入したエデン・アザールは負傷に苦しめられている。
その中で猛アピールしているのがヴィニシウス・ジュニオールだ。第4節バジャドリー戦では決勝ゴールを記録。課題だった守備やフィニッシュの精度に改善の兆しが見える。
今季、ジダン監督はレアル・ソシエダ戦(4-2-3-1)、ベティス戦(4-4-2)、バジャドリー戦(4-4-2)とシステムを変えながら戦っている。バジャドリー戦の終盤では、4-3-3に布陣変更して得点を奪い勝ち切った。
2年前にクリスティアーノ・ロナウドというエースが去り、マドリーでは決定力不足が嘆かれるようになった。昨季、カリム・ベンゼマに次いでチーム2番目のゴールスコアラーになったのはセンターバックのセルヒオ・ラモスだ。
しかし、いやだからこそ、ジダンは守備を重視しているのだろう。勝ち点を取りこぼさないフットボールで、リーガ連覇を指揮官は虎視眈々と狙っている。