JASRACを訴えた佐村河内氏の言い分は正当なのか
久しぶりに名前を聞いた佐村河内守氏ですが、著作権使用料700万円の支払いを求めてJASRACを訴えたようです(参照記事)。同氏の主張は正当なのでしょうか?勝訴の可能性はあるのでしょうか?
JASRACのサイトにある著作権信託契約約款を見てみましょう。以下の記載があります。
著作権者(著作権を有する者)であれば、JASRACに著作権を信託できることがわかります。著作者(元々の作詞家・作曲家)である必要はありません。「著作権者」と「著作者」の言葉の使い分けにご注意下さい。著作物が作られた時は(多くの場合)著作者=著作権者ですが、著作権が譲渡等で移転すると著作者≠著作権者となります。たとえば、音楽出版者が、著作者である作詞家・作曲家から著作権を譲渡してもらって、それをJASRACに信託することは一般的に行なわれています。
一方、以下の規定もあります。
要は、佐村河内氏は、著作者である新垣隆氏から著作権を譲渡してもらっている自分は著作権者であって、分配金をもらう資格があると言っており、JASRACは正当に譲渡されたかどうかに疑義があるので分配金を払っていなかったと言っているわけです。
結局、問題は佐村河内氏と新垣氏の間の「ゴーストライター契約」がどのような性質のものであったかに帰着します。新垣氏がいわゆる買取り契約的に著作権を譲渡したというつもりだったのであれば、佐村河内氏の主張は正当と言えます。ただ、契約書なんてものは絶対ないでしょうから、言った言わないの話になる可能性もありそうです。一部報道によればJASRACは使用料を支払う意思があるようですが、金額の算定等でまだもめる要素はあります。おそらく新垣氏にとってははもう忘れたいと思っていた話を蒸し返されること(ひょっとすると証人として出廷すること)になってお気の毒と言うほかはありません。