令和最初の王者はどこだ!?「戦国」東都大学野球はクライマックスへ
令和元年の東都大学野球春季リーグも残すところ最終週となる5月21日からの第5週と未消化カード1つ(立正大対中央大3回戦)のみとなった。
「戦国東都」とも呼ばれるように、実力差の拮抗は大学球界トップレベルと言ってもいい。その証拠に今春は、昨秋の優勝決定戦のカードとなった立正大と駒澤大が勝ち点0 のまま2部優勝校との入替戦に回る最下位争いを繰り広げている。
※両校は今週、直接対決。昨秋の優勝決定戦は立正大が勝ち、そのまま明治神宮大会も制して秋の大学日本一に輝いた。
今季、優勝の可能性を残すのは東洋大、国学院大、中央大の3校となっている。
優勝争いをリードするのは、8勝3敗1分けの東洋大。既に勝ち点4を挙げているため、最終週の亜細亜大戦で勝ち点を挙げれば、完全優勝で2季ぶりの優勝が決まる。対する亜細亜大は優勝も最下位も無くなったとはいえ、粘り強さは変わらないチーム。
一昨年春は亜細亜大が優勝の可能性のあった国学院大から最終週で勝ち点を奪い、東洋大は結果的に優勝をアシストしてもらう形となった。だが、その後は秋に優勝決定戦を戦い、昨春も今回と同様の形で亜細亜大と最終週で戦い3回戦までもつれ、東洋大がいずれも勝利しリーグ3連覇を果たした。一方で秋は最終週で亜細亜大が勝利し東洋大の連覇が途絶えた。
鍵を握りそうなのがバッテリー陣だ。エース右腕の村上頌樹(3年・智辯学園)は2016年春のセンバツ甲子園優勝投手。その勝負強さや投球術はさらに磨かれており、今季ここまで5勝負けなし。クイックモーションも速く、ドラフト候補で捕手の佐藤都志也(4年・聖光学院)と組んで、15日の立正大戦では3つの二盗を刺した。その佐藤は打線でも4番を担う大黒柱。「今年は野手で勝負と言ってきたので、最後くらいは投手を楽にさせてあげたいです」とバットでの強力援護を誓った。
東洋大の優勝条件:亜細亜大から勝ち点を獲得、勝ち点を落とした場合は国学院大vs中央大の結果次第
7勝3敗1分、勝ち点3の2位で東洋大を追う国学院大は、わずかに優勝の可能性を残す5勝5敗1分けで勝ち点2の中央大と対戦。
ここ数年、あと一歩のところで2010年秋以来2度目となる優勝を掴めない国学院大は今春のリーグ戦すべての試合が4点差以内、1試合最多失点が5点と、複数の好投手で繋いでいくスタイルで白星を重ねてきた。鳥山泰孝監督は4カードを戦い終えた15日の試合後、ここまでの強みを「投手陣が試合を作ってくれています」と話し、「あとは近年の課題である勝ち切れる強さを持てるかどうか」と最終週を見据えた。
打線も主将である貞光広登(4年・天理)がリーグトップの打率.394を記録し好調。4番を打つ鎌仲純平(4年・北海)が打率2割台前半と苦しんでいたが直近の15日の試合で4打数2安打2打点と活躍し復調気味なのも心強い。
国学院大の優勝条件:東洋大が亜細亜大に勝ち点を落とし、国学院大が中央大から勝ち点を獲得すること
中央大は、東洋大が亜細亜大に連敗し、中央大が国学院大に連勝、さらに未消化となっている立正大との3回戦に勝利した上で東洋大との優勝決定戦に臨まなくてはいけない。優勝に向けてはかなり厳しい状況であることに変わりはないが、侍ジャパンU-18代表の経験があり、現在打率ランキングでもリーグ3位の.382を記録している捕手の古賀悠斗(2年・福岡大大濠)が攻守においてキーマンとなりそうだ。
令和最初の東都大学野球王者として全日本大学野球選手権(6月10日開幕)に臨むチームはどこになるのか。天下分け目の決戦はまもなく始まる。
文・写真=高木遊