中国が政府以外の天気予報を禁止 日本は?
中国では今月から、政府以外の天気予報が禁止されたそうです。この件、日本の天気予報の現状についても色々と考えさせられます。
民間の天気予報は禁止
政府機関しか予報が発表できないということは、その予報の精度が悪くても、国民は粗悪な情報を日々、受け取るしかないということです。また、情報のきめ細かさの深化も、期待はできないでしょう。
日本でも許可なしでは罰則
日本では、気象業務法という法律により、許可を受けた気象予報士であれば、民間でも独自予報を広く発表することができます。
許可制になっているのは、技術的な裏付けの無い予報が発表されると、混乱や被害が出るおそれがあるためです。
一方、許可を受けてない人が予報業務を行うと、50万円以下の罰金という罰則があります。
ただ、この罰則は予報“業務”をした場合ですので、「気象庁は台風が来ないと予報してるけど、来るんじゃないの?」といった感想のようなことを一度ネットに書き込んだくらいでは、対象とはならないでしょう。
「感想」が予報のように拡散することも
しかし、「感想」が「予報」のように出回ることも増えています。
たとえば、台風の予測データは、海外の気象機関などがネット上で公開しています。
日本の気象庁の台風予報と、見解が違うこともしばしばですが、そういった気象庁予報と違う情報を、「日本に台風来そう」といった感想とともに一般の人がネットで流せる時代です。
専門家から見て明らかにおかしい気象情報でも、派手な天気図などの画像が付いていれば、誇大な情報が数万人、数十万人にどんどん拡散…そんなことも目にします。
「感想」か「予報」かの線引きは難しく、技術的な裏付けの無い怪しい情報が出回ることは、簡単にはなくならないでしょう。
信頼できる情報の見極めを普段から
中国では今春、巨大台風が近づくというデマが広がったそうですが、日本でも現状がひどくなると、いつかは同様のことが起こるかもしれません。
かといって、気象庁や許可を受けている気象予報士の予報を信じるべき、と言い続けても、それだけでは信じてもらえないでしょう。
(残念ながら、それらの予報でも、誇大ぎみと感じる情報が全くないわけではない。)
結局は、日々の天気予報を見聞きしてもらい、「この情報は信頼できる」「怪しい」という見極めをしてもらうしかありません。
おだやかな日の天気予報の積み重ねが、災害時の情報伝達の質を上げるのだと感じます。