ホロコースト生存者の経験を伝えるドキュメンタリーアニメ イスラエルのヤド・ヴァシェムが制作
ホロコースト教育に活用されやすいデジタル化されたホロコーストの経験
第2次世界大戦時にナチスドイツによって約600万人のユダヤ人が殺害された、いわゆるホロコースト。イスラエルにはホロコースト犠牲者を追悼したヤド・ヴァシェムという博物館がある。
ヤド・ヴァシェムは2024年3月に「“He Imposes Peace in His Heights”: The Story of Holocaust Survivor Prof. Binyamin Englman」というドキュメンタリーアニメを公開した。このアニメはホロコースト生存者であるハンガリー生まれのユダヤ人でホロコーストを生き延びたベンジャミン・イングルマン氏のホロコースト時代の経験を伝えている。そしてアニメだけでなく当時の写真や映像、さらに最後には本人が登場している。
欧米やイスラエルではホロコースト教育が行われており、このドキュメンタリーアニメも子供向けのホロコースト教育に活用される。ヤド・ヴァシェムでは約480万人のホロコースト犠牲者のデータベースがあり、それらは世界中からネット経由で閲覧することもできる。約600万人のユダヤ人が殺害されたが、残りの約120万人は名前が判明していない。第2次世界大戦が終結して70年以上が経過し、ホロコースト生存者の高齢化が進んできた。生存者が心身ともに健康なうちにホロコースト時代の経験や記憶を証言として動画で録画してネットで世界中から視聴してもらう「記憶のデジタル化」が進められている。
このドキュメンタリーアニメも「記憶のデジタル化」によるホロコーストの歴史の継承の取組の1つだ。ドキュメンタリーアニメという形でベンジャミン氏のホロコーストの経験を伝えている。ドキュメンタリーアニメなのでホロコースト教育の教材にも活用されやすい。このように動画にすることによって世界中のあらゆる人がアクセスして視聴して、ベンジャミン氏のことを知ることができる。
ヤド・ヴァシェムではベンジャミン氏だけでなく、今までにもホロコースト生存者の生涯をドキュメンタリーアニメとして制作して世界中に動画で配信している。映像の時間は10分程度で、若者が見ても飽きないように当時の写真や映像、アニメを組み合わせて制作してホロコースト時代の経験をデジタル化してわかりやすく伝えている。