慰安婦問題言及に韓国人女性との不倫説まで……ドイツ前首相に翻弄される韓国
ドイツのゲアハルト・シュレーダー前首相が9月上旬、訪韓して元従軍慰安婦が暮らす施設「ナヌムの家」を訪れていたことをご存知だろうか。
シュレーダー前首相はその際、「自発性の意味を内包する慰安婦という単語は合わない。性奴隷被害者と表現すべきだ」「日本の謝罪を受けることを願う」などと話したという。
ドイツは世界一の“嫌韓国家”だが…
韓国の立場からすれば、非常に心強い言葉だろう。
そもそも韓国におけるドイツのイメージは非常に良い。それはイギリスBBC放送が行った「国家イメージアンケート」でも証明されており、韓国人の実に76%がドイツに肯定的だ。
逆にドイツは同調査で韓国否定派が65%という皮肉な結果になっているが、シュレーダー前首相の今回の発言は韓国にかなり寄り添ったものといえるが、シュレーダー前首相の訪韓時の発言はこれだけではない。
(参考記事:韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのか)
慰安婦にノーベル平和賞を
シュレーダー前首相はナヌムの家で、「(元慰安婦の)おばあさんたちがノーベル賞候補として提案されている。私もこれを積極的に支持する。おばあさんたちは人権を実現している方たちだ」と語ったというのだ。
毎年恒例のことだが、9月中旬過ぎから韓国では「今年こそ韓国人はノーベル賞を受賞できるのか」が大きな話題となる。
日本をはじめ中国など、近隣諸国の受賞ニュースを目の当たりにして、“ノーベル賞コンプレックス”に苦しんでいるとの指摘もあるほどだ。
(参考記事:“ノーベル賞コンプレックス”に苦しむ韓国に世界的科学誌が突きつけた厳しい指摘とは?)
そうした中でのシュレーダー前首相発言である。「元慰安婦にノーベル平和賞を」という発想は韓国でも以前からあったが、ドイツ前首相の後押しは影響力が少なくない。
実際に、シュレーダー前首相に同行していた京畿道(キョンギド)・光明(クァンミョン)市のヤン・ギデ市長は、自身のフェイスブックにこう書き込んでいる。
「元慰安婦たちのノーベル平和賞推薦は、この問題を解決する新しい突破口。痛ましい歴史を昇華させることのできる彼女たちのノーベル平和賞受賞のための汎国民的な協議体の構成を提案する」
韓国人女性と不倫疑惑
まさにシュレーダー前首相発言を追い風にしたい意気込みが伝わってくるが、出鼻を挫かれるような報道もある。
9月21日、ドイツ大衆紙ビルト電子版はシュレーダー前首相が25歳年下の韓国人女性と交際していると報じたという。
この報道を受けて『ソウル新聞』は、その韓国人女性について報道。なんでもその韓国人女性は今回訪韓したシュレーダー前首相の通訳を務めており、最近韓国で翻訳・出版された自叙伝の監修も担った人物だと伝えている。彼女は既婚者で、子供が2人いるという。
また『聨合ニュース』は、「この事実は、シュレーダー前首相と離婚訴訟中のドリス・ケップフ氏がフェイスブックを通じて、2人が別れるようになった背景を明かしたことで知られるようになった」と報じた。ドリス・ケップフ氏は以前、離婚するようになった理由のひとつとして、韓国人女性の名を挙げていたそうだ。
韓国ネット民たちは「とても自由な人だな」「不倫だね」「25歳も年下とはうらやましい」などとさまざまな反応を見せており、「だから慰安婦問題で日本を批判したのか? ハニートラップだ」と失望を隠し切れない書き込みまであった。
韓国でも不倫は問題視される
日本ほどではないが、韓国でも不倫は注目を集める話題で、最近も映画監督と女優の不倫は大きな注目の的となった。
というのも韓国ではつい数年前まで、配偶者がいる者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つと「姦通罪」に処されていたからだろう。
2015年2月、韓国憲法裁判所は姦通罪が「国民の性的自己決定権とプライバシーの秘密自由を侵害するため、憲法違反だ」と決定しており、1953年の制定から62年ぶりに姦通罪は廃止されたが、社会には大きな動揺が広がった。
(参考記事:“不倫共和国”になりつつある!? 姦通罪廃止から丸2年、韓国社会に現れた変化とは)
それだけに、シュレーダー前首相の交際報道はさらなる波紋を呼びそうだ。
訪韓したドイツ前首相の発言に力を得たものの、韓国人女性との交際報道でモヤモヤも残った韓国。当分、シュレーダー前首相の話題は尽きないかもしれない。