「富山市の住民税非課税世帯が4分の1」は驚くことではない:全国の非課税世帯の割合は23.7%
富山市の住民税非課税世帯が4分の1あることが、富山市議会で話題になったようです。
「思ったより多くて違和感がある」富山市の住民税非課税世帯が4分の1 市議会で質疑(2023年6月12日 チューリップテレビ)
富山市の市議会議員さんも驚いた「住民税非課税世帯」の多さですが、実際はどうなのでしょうか?
実は、市区町村別の住民税非課税世帯に関する統計は公開されていません。一般的に入手可能な統計は、厚生労働省「令和3年国民生活基礎調査」による全国的な統計のみです。
そこで、厚生労働省「令和3年国民生活基礎調査」2所得票 第126表「世帯数,課税の状況・世帯類型-児童のいる世帯-65歳以上の者のいる世帯・所得金額階級別」を見てみると、非課税世帯の割合は、平均で23.7%、高齢者世帯43.3%、非高齢者世帯13.4%、母子世帯44.7%と高齢者世帯と母子世帯で高くなっていることが分かります。
高齢者世帯の主な収入源は公的年金ですから、課税所得の水準で考えると、どうしても高齢者世帯は非課税世帯=弱者とみなされることになってしまうのです。
非課税世帯の割合は、全国平均では23.7%ですので、富山市30.5%の高齢化率が全国35.3%より低いとはいっても高すぎるとはいえず、ほぼ全国平均並みと言えるでしょう。
つまり、富山市の住民税非課税世帯が4分の1あるとはいっても、それほど特異な状況とは言えないことが分かります。
ただし、読者の皆さんもきっと抱かれるもやもやっとした違和感の原因は、年金を受給している高齢者世帯の多くが「非課税世帯」とみなされていることにあるというのが正確だと思います。
高齢者世帯が、安定した公的年金やその他の収入源があるにもかかわらず、非課税世帯であるという理由で経済的弱者とみなされてしまうバグはコロナ禍で以前より周知されてきたと思います。
母子世帯等本当に困っている世帯により多くの給付が届けられる、そんな世の中が実現されることを願ってやみません。