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同じ試合で投げ合った2人の先発投手が、同時に「別のゲーム」でも勝敗を競う

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・マスグローブ(サンディエゴ・パドレス)Jun 10, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月10日、ジョー・マスグローブ(サンディエゴ・パドレス)とチャド・クール(コロラド・ロッキーズ)は、それぞれのチームの先発投手としてペトコ・パークのマウンドに上がり、交互に投げ合っただけでなく、別の勝負も競った。

 まず、マスグローブがマウンド上の後ろのほうに右足で枡目を描き、四隅の一つに×を入れた。それに続き、クールが中央に○を入れ、互いにマウンドに上がるため、×と○を描いていった。彼らは、ゲームの最中に別のゲーム、三目並べをしていた。

 どうやら、この勝負は決着がつかなかったようだ。

 一方、彼らの投げ合いは、マスグローブに軍配が上がった。

 マスグローブは、スコアボードにゼロを6つ並べた。クールは、4回裏が終わるまでに5点を取られ、5回裏に1死一、二塁となったところで、マウンドを降りた。試合は、パドレスが9対0でロッキーズを下し、2人の先発投手は、それぞれ、白星と黒星を手にした。

 彼らは、ピッツバーグ・パイレーツでチームメイトだった。クールは、2013年のドラフトでパイレーツに指名されて入団し、昨シーズン終了後にFAとなるまで在籍した。マスグローブは、2018年1月にゲリット・コール(現ニューヨーク・ヤンキース)の交換要員の一人としてヒューストン・アストロズからパイレーツへ移り、昨年1月の三角トレードでパドレスへ移籍した。

 チームメイトになる前を含め、彼らがメジャーリーグで投げ合ったのは、今回が初めてだ。パドレスとロッキーズはナ・リーグ西地区のチームなので、再び投げ合うだけでなく、三目並べもあるかもしれない。

 なお、三目並べではないが、同じ試合に出場した両チームの一塁手が、一つのミットを交互に使用したことはある。それについては、こちらで書いた。

「両チームの一塁手が一つのミットを交互に使った理由◆兄弟が同じイニングに本塁打…【7月12日のMLB】」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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