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羽生結弦さんの真の離婚理由 中国人ファンは見抜いていた? 中国で最も多かった検索ワードは何だったか

中島恵ジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

冬季オリンピックで2連覇という偉業を成し遂げたフィギュアスケートの羽生結弦さんが11月17日に突然、離婚を発表した。

それから1週間、日本のみならず、熱狂的なファンが多い中国でも動揺が広がっていて、いまだに収束する気配がない。

SNSでの反応は肯定と否定が真っ二つ

羽生さんの離婚発表は17日の深夜0時を回る前だったが、発表直後から中国でも発表文をそのまま翻訳・引用する形でSNSに投稿する人が続出した。

日本と1時間の時差があるにもかかわらず、翌18日の午前6時(中国時間の午前5時)に筆者がウェイボー(微博)をチェックしたときには、アクセスランキングの4位に躍り出ていた。

中国の大手メディアも速報するなど、羽生さんのニュースは非常に大きく取り上げられていて、逆にそのことに驚かされた。

SNSでの反応を見てみると、「まさか3カ月で離婚するとは……」「そんなに誹謗中傷やストーカー行為があったのか、驚いた」「凡人には理解しがたい有名人のスピード離婚」「一体、何があったのだろうか」「彼は奥さんのことを必死で守ろうとしたんだね。かわいそうだ」「何があっても、これからも柚子(羽生さんの中国での愛称)を応援する」といったコメントのほか、否定的なコメントもあった。

たとえば、以下のような辛辣なコメントだ。

「表向きはメディアのせいにしているけれど、結局、本人自身がまだ人間として未熟、子どもだったということでは?」「本当にメディアのせいなのか?ほかに言えない真の理由があるのでは?」「まるで逃げ出したように感じた」「奥さんの存在を何だと思っていたのか」「お母さんがベッタリだったからね。奥さんが本当にかわいそう」

SNSを見るかぎり、日本同様、肯定と否定が真っ二つといった状況だった。

中国で最も検索されたのは

中国のSNSでは日本のような単語と単語の組み合わせ(羽生結弦+離婚)よりも、少し長いセンテンスや、単語をつなげて検索する人が多いが、離婚発表から1週間経って、SNSを見てみると、検索数が多いのは以下だった。

羽生結弦離婚 羽生結弦離婚原因 羽生結弦老婆(妻) 羽生結弦結婚時間 羽生結弦宣布結婚 羽生結弦方拒絶回応妻子身分 羽生結弦熱舞視頻 羽生結弦紅白歌会

離婚発表直後に最も多かったのは「羽生結弦離婚原因」で、羽生さんが発表した文章を引用する人が多かったが、次第に、日本の情報番組の動画を引用したり、日本の有名人が発言した感想のコメントなども引用。日本同様、“やや深いコメントや考察”へと移行していった。

それらを見ると、当初の「(羽生さんが)かわいそう」から、「(名前も発表してもらえなかった奥さんが)かわいそう」というように、どちらかというと、否定的なコメントが増えていったように見える。

中国では女性の立場も強いため、単に「お相手」というふうにしか表現されず、結婚の際、ツーショット写真なども公表してもらえなかった年上の妻に対する同情のほうが増えていったようだ。

意外と冷静な中国ファン

中国のウェイボーにある羽生結弦さんのファンサイトには約276万人もの登録があり、Z世代の女性などを始め、比較的若いファンが多い。とくに増えたのはここ数年で、2022年の北京冬季オリンピックのときには、その一挙手一投足が話題になった。

中国でもグランプリシリーズなどフィギュアスケートの国際大会が行われるし、羽生さんの礼儀正しさや優雅な演技に魅了されている人が非常に多いのだ。しかし、今回の騒動では案外、冷静なコメントが多かった。

中国では紙の新聞の時代から、政府の公式発表の「裏を読む」ことが日常茶飯事になっている。国営メディアなどで発表されることを「額面通り」に受け取らない人が多い。

行間を読み、その裏には一体何が隠されているのか。何か事情があるから、このように発表せざるを得ないのではないか、など探りを入れるのが普通だ。情報統制が厳しい国だからこそ、かえって情報に敏感な人が多い。

羽生さんの熱狂的なファンが今も多い中国だが、SNSの発達により、よいことも、悪いことも、包み隠すことはできなくなった。福原愛さんの離婚問題などについても同様だ。

中国のSNSの反応を見ていると、逆に彼らのほうが忖度しないで率直な意見を言ったり、本質を見抜いたりしている部分があるのではないか、と思わされるときがある。

参考記事:

羽生結弦さんの妻は中国人!? 中国でデマが拡散される

中国で羽生結弦さんのこだわり「1」に共感と納得が広がるワケ

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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