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2015年、地方は分かれ道を歩き出す

一井暁子一般社団法人つながる地域づくり研究所 代表理事

新年明けましておめでとうございます。

2015年は、どんな一年になるのでしょうか。

地方から見ると、やっぱり「地方創生」には、期待してしまいます。

「またかよ」「どーせいつもと同じだよ」という声も聞こえるのですが、でもね。

年末、27日に、まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」と「総合戦略」が、閣議決定されました。地方創生の考え方や、目標、何をやるか、といったことを決めたものです。

そこには、「東京圏には人口が集中し過ぎ→今後も東京圏への人口流入が続く可能性が高い→東京圏への人口集中が、日本全体の人口減少に結びついている→だから『東京一極集中』を是正」が、基本です、と書かれていて、

「地方への新しいひとの流れをつくる」と、力強く断言されています。

しかも、「これまで色々やってきたけど、ぶっちゃけ、地方の人口流出や少子化に、歯止めがかかっていないよね」と認めた上で、「なんで悪かったかというと、『縦割り』で、『全国一律』に『バラマキ』して、『表面的』で『短期的』な施策だったからです」と、反省までしているのです。

地方がこれまで文句を言ってきたことを、国が率直に認めている感じで、ここは素直に、地方も、がんばらなきゃいけないんじゃないかと思います。

実際、住民が減ったり、お年寄りばかりになったり、状況はかなり厳しくて、先延ばししている場合じゃない。

全国の県庁や市役所、町村役場は、26日が仕事納めだったので、閣議決定が行われた27日は、お休みに入っていました。

そのまま5日の仕事始めまで、のんびりとお正月を堪能しているところと、すぐにスタートダッシュをかけているところと、両方あるようですが、差が付きそうですよね。

それから、各自治体も、「地方版総合戦略」を作ることになっているのですが、国の「総合戦略」の最後に、ずらっと並んでいる「政策パッケージ」を見て、そこからあれこれ選んで、「よし!これで人口減少対策ができた!」「お金は国が出してくれるしー」というところと、「こういうのが『全国一律』って言うんだよ!反省したんじゃないのか!うちは違うことやってやる!」「先のこと考えたら、続けていけるようなお金集めしないとな~」というところでは、これまた差が開きそうです。

昔と違うのは、のんびりしてたり、自分の頭を使わない自治体に住んでいると、まちがどんどんさびしくなっていくこと。

国の悪口を言ってるヒマがあったら、「こういうことやらせてよ!」って国に言いに行くぐらいじゃないと、間に合わない。

どっちの道を行くか。それぞれの自治体が、分かれ道を歩き出しています。

皆さんが住んでいる県や市町村は、どっちですか?

一般社団法人つながる地域づくり研究所 代表理事

1970年生まれ。東京大学法学部中退。地中美術館(香川県直島)、岡山県議会議員などを経て、2013年、ローカル・シンクタンク「一般社団法人つながる地域づくり研究所」(岡山県岡山市)を設立。自治体と民間と住民をつなぎ、地方創生やまちづくりの現場を伴走支援する。「官民連携まちづくり推進協議会」「文化と教育の先端自治体連合」など、共通するテーマに取り組む、全国の自治体団体の事務局も務める。地域や自治体、企業の声を聞き、「しごとコンビニ」や「放課後企業クラブ」などの新たなしくみを生み出している。

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