中国経済は6.7%に減速 死語になるBRICs 世界経済見通し
世界銀行は6日、世界経済見通しを発表しました。世界経済の成長ペースは2015年の2.4%から2016年は2.9%まで小幅ながら上昇するそうです。先進国が成長を加速させる一方で、中国の成長率は6.9%から6.7%に減速します。途上国の成長率は4.3%から4.8%に回復するものの、新興国の低成長が世界経済の大きな足かせになると予想しています。
昨年6月時点の世界経済の成長見通しは3.3%で、0.4ポイント下方修正されました。
2000年代以降、目覚ましい経済成長を遂げたブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国は頭文字を取って「BRICs」と呼ばれました。しかし、「B」と「R」は大きく後退してしまいました。ブラジルでは現在の景気低迷が2016年も続き、再びプラスに転じるのは2017年だそうです。大統領ルセフの求心力も低下し、経済改革が遠のいています。
欧米諸国の経済制裁と原油価格の急落のダブルパンチに見舞われたロシアの成長率は昨年マイナス3.8%まで落ち込み、今年はマイナス0.7%まで回復するそうです。英紙フィナンシャル・タイムズは原油価格が今年末までに1バレル=50ドル以上に回復すると予想しています。そうなれば露大統領プーチンも一息つけそうですが、経済制裁が重くのしかかります。
中国は輸出主導型から消費やサービス業中心の内需モデルへの転換を進めています。それに伴って成長率が減速してきています。予想よりテンポの早い中国の景気後退が今後のリスクとして挙げられるそうです。一方、インドの成長率は2016~17年、7.8%とさらに加速する見通しです。
環太平洋経済連携協定(TPP)は昨年10月に大筋合意しました。今年2月上旬にも参加12カ国の担当閣僚がニュージーランドか米国に集まって署名式を開く予定です。世銀のロンドン事務所で記者会見したフランシスカ・オンソルゲ首席エコノミストによると、自動車市場が広がるため、TPPが日本にもたらす経済的なインパクトは2030年までで国内総生産(GDP)の2.5%に相当するそうです。
TPPが締約国にもたらす経済効果は最大で10%を超え、平均では1%強とみられます。参加しない国との格差は限定的だそうです。
過去10年、世界経済の成長に大きく貢献してきた新興国が軒並み低調です。「先進国の成長率が伸びたとしても、主要新興国で続く景気低迷のリスクを限定的に相殺するに留まるでしょう。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ後の金融混乱のリスクも引き続き懸念されます」と世銀のアイハン・コーゼ開発見通し局長は指摘しています。
(おわり)