Yahoo!ニュース

日常生活を過ごす上で必要な情報へ不満を持つ高齢者、その不満の実情(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
日常生活を過ごす上で必要な情報へ不満を持つ高齢者、その実情は(写真:イメージマート)

日々の生活を過ごす上で欠かせない情報は多数存在するが、その情報が過不足なく常に手に入るとは限らない。情報の入手方法そのものすら分からないこともあるだろう。特に高齢者は心身の衰えを考慮すると、情報の適切な入手ができるか否かは死活問題にかかわることもありうる。今回は高齢者における、日常生活を過ごす上で必要な情報(日常生活情報)について、どのような不満を持っているのか、その実情を内閣府が2022年6月に発表した「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(※)の結果から確認する。

今調査対象母集団においては、全体の78.5%が日常生活情報に満足する一方で、14.7%は不満を抱いている(残りは不明・無回答)。そこでその不満を抱いている人に複数回答で、具体的にどのような点が不満なのかを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 日常生活情報に関する不満点(日常生活情報に不満を持つ人限定)(2021年)
↑ 日常生活情報に関する不満点(日常生活情報に不満を持つ人限定)(2021年)

日常生活情報についてもっとも多くの人が不満を感じているのは「どの情報が信頼できるか分からない」で52.7%。絶対に信じられる、うそいつわりがないと断言できる、絶対の信頼を寄せられるような情報源があれば話は別だが、現在は誰もが気軽に情報発信ができる時代であり、それらの情報が信頼できるか否かを精査するのには大変な時間と労力、そして知識が必要となる。ましてやこれまで信頼できるものと信じる人が多かったテレビや新聞のような大手メディア発信の日常生活情報ですら、うのみにしては大変なことになりうる時代。どの情報が信頼できるか分からないと不満を持つようになるのもおかしくはない。

次いで「情報の内容が分かりにくい」が47.1%。元々情報発信側の解説が上手ではなく結果として分かりにくい他に、情報そのものが難しい内容で優しい解説が難しい可能性もある。もっとも、多くの人に分かりやすいように工夫されていても、それが間違っていたのでは困りものなのだが。

さらに「どこから情報を得たらよいか分からない」が40.3%。トップの「どの情報が信頼できるか分からない」にも通じる話で、どの情報源が自分にとって信頼できて理解しやすく、さらに適切な分量のものか、判断できないのが実情だろう。インターネットによる情報取得ツールでは、利用者自身がニュースの分量・対象となる分野などをカスタマイズできるようになっているものだが、「どこから情報を得たらよいか分からない」と不満を持つ人はそのような機能を使いこなすこと自体が難しいのかもしれない。

「文字が小さくて読めない」は33.3%だが、これは多分に視力が落ちることが多い高齢者ならではの理由。いくら自分が欲しい情報が載っているとしても、それを読めないのでは何の意味もない。

男女別で見ると多くの不満点で男性よりも女性の方が高い値を示している。具体的な不満点で男性の方が高いのは「必要な情報が乏しい」「情報量が多すぎる」のみ。不満点の多くは積極的な要望の裏返しでもあるから(例えば「どの情報が信頼できるか分からない」は、「信頼できる情報が欲しい」からこその不満である)、男性よりは女性の方が日常生活情報の取得に積極的であると解釈できそうだ。

■関連記事:

【日常生活での情報源はテレビ・新聞・そして公式ウェブサイト】

【これは気になる、高齢者の日常生活上の情報源とは!?(最新)】

※高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査

2021年12月6日から12月24日にかけて、層化二段無作為抽出を用いて選ばれた全国の60歳以上の男女に対し郵送調査法で行われたもので、有効回答数は2435人。男女比は1188対1247。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事