【小麦栽培から考える多様性の価値】~古代小麦を数種類栽培してみたけどもうやめようか迷ってます~
だんだんどうも!かーびーです^^
今回は麦の話…からの多様性。
私は無農薬無肥料で野菜の他にも米と麦も育てています。
お米は、大きく分けて粳米(うるちまい)と餅米(もちごめ)の2つですが、品種で言えば日本だけでも数百種類有るそうです。
麦は、小麦、大麦、ライ麦、燕麦などあります。
小麦が私たちの食生活には最も馴染み深く重要な作物で、ご存知の通りパン、うどん、ラーメン、パスタ、お好み焼き、たこ焼き、ケーキなどなどなど、主食からおかず、お菓子にまで幅広く使われます。
小麦もお米のように沢山の種類があり、わかりやすく馴染みのある分け方では、グルテンの含有量による違いで、強力粉、中力粉、薄力粉の3つに分けられます。
グルテンが多いと粘りが強くなるんですね。
この分け方以外にも、古代小麦と現代小麦という分け方もあります。
ちょっと難しくなりますが、小麦の原種と言われるヒトツブコムギ、そこから突然変異で生まれたフタツブコムギ、そしてさらに突然変異で生まれたのが普通小麦といって、現代で広く栽培されているのは普通小麦をさらに品種改良したものです。
…と、小麦について詳しく書くのが今回のテーマではないのでそれはまた今度^ ^
今回のテーマは『多様性』です。
↓こちらが今日刈り取った小麦の写真
右と左の束でなんか違うのわかりますでしょうか?
品種ごとのタネの選別が不完全で、異なる品種が混じって生えていました。
穂が出てきた段階で何となく雰囲気が違う。
おそらく、左がカムット、右がエンマーというどちらもいわゆる古代小麦の品種。
他にも一般的に『スペルト小麦』と言われている品種も生えていました。
いくつか異なる品種を栽培するとそれぞれに特徴があって違うのがわかります。
収穫に関係する点としては、
実が熟す時期、草丈が大きくて、
病害虫にやられにくい、鳥に食べられにくいなどがあります。
このように、いろんな特徴を持っていると栽培や収穫の効率はかなり下がります。
一斉に収穫できなかったり、管理の方法が変わるからです。
なので、現代の一般的な栽培では収穫量、生産効率を重視して一つの種類が広い面積に栽培されて、一斉に収穫されます。
そうなると問題になるのが、病害虫による被害です。
同じ性質のものなので、特定の病害虫が発生すると一気に蔓延して全滅までいかなくとも、かなりの被害になります。
それを予防するために薬剤を使用します。
また、天候や自然災害に見舞われても全滅のリスクがあります。
例えば、穂が熟して枯れた時が収穫時なのですがそのタイミングで1週間雨が降ったりするとカビが発生して蔓延します。
穂が青いうちはそうなりません。
成熟の時期がズレていれば、ある品種は全滅したとしても他の品種は収穫出来る。
株式投資にも似ていますね。
1つの銘柄に集中投資するのか、広く分散投資するのか。
現代は、農薬があるので、それを使うことで病害虫のリスクは下げることができますが、その代わりに『小麦アレルギー』が出てきてしまった可能性もありめす。
グルテンが原因と言われていますが、残留農薬などに対する化学物質過敏症を併発していてそれも大きな原因ではないかと言われています。
無農薬栽培をする上で、病害虫や天候によるリスクを分散する為にいろんな種類の麦を栽培するのは効果的ですが、生産効率は悪くなります。
これら、色々なバランスを考えた上でどんな選択をしていくのが良いのか?
そんなことを1人で麦刈りしながら考えていたらします。
気候変動が起きていて、毎年のように異常気象が発生する近年。
こんな時代だからこそ、作物に多様性を持たせる意味と価値が高まるのではないかと考え、現代では殆ど流通しなくなった固定種の野菜を色々と育ててタネ採りも続けています。
米麦大豆という主食とそれに準ずる大事な農作物についても同じく考えていて、それで米も麦も複数種類を無農薬で栽培しているのですが、米はともかく、麦はほんとうに採れる量が少ないし、収穫後の手間も掛ります。販売なんて、今の規模ではとても現実的ではない量です。
↓この写真の畝1本20mくらいに麦が2列生えていますが、この畝一本から採れる麦の量は1kgにもなりません。
オーガニックの小麦は1kg400円くらいだそうです。
自然栽培のスペルト小麦(古代小麦)なら希少価値もあって1kg2,000~3,000円になるそうなのですが、その金額でも私のやり方と栽培面積ではとても仕事になりません。
ほんとうに、手間と栽培リスク(天候などにより作物がダメになる可能性)を考えるとお金を稼ぐ手段としてはヒドいものです。そこにお金を稼ぐこと以外の価値を見いだすか、農作物の販売以外の方法で収益を作らなければ、何度も言いますがとてもじゃないけれど続けていけません。
そんなことを自問自答しながらどうしたもんかなぁと考えながら農作業をしている毎日です。