Yahoo!ニュース

あの商標登録出願は今?(続報)

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
登録6008748号、登録6008749号

昨年の6月に「あの商標登録出願は今?」という記事を書いています。佐野エンブレムも含む五輪エンブレム関連の商標が審査中であるという話でしたが現時点では、そのほとんどが登録されています。

まず、懐かしの佐野エンブレムはオリンピック用およびパラリンピック用共(タイトル画像参照)に、登録査定の後に登録料が支払われて今年の1月に登録となっています。全区分(45区分)指定されているので、印紙代だけでも130万円弱(さらに、弁理士手数料が加わります)を支払ったということになります。

どう考えてももう使い道がないので支払う必要があったのかという気はしますが、予算化されているので支払わずに放棄するという選択肢はなかったものと思われます。

さらに、正式なエンブレムの方も既に登録されています(オリンピック用パラリンピック用)。これは当然として、最終候補に残った他の案(その1その2その3その4その5その6)も全部登録料が支払われて登録となっています。佐野エンブレムと同じく、最終案以外は権利放棄して公共材としても良いような気がしますがそういうわけにもいかないのでしょう。(なお、勝手出願を防ぐために案を公開する時点で出願することは必要ですが、登録料を払って登録するかどうかはまた別の話しです)

画像

また、先日選考が行なわれたマスコットの最終案作品も当然ながら出願されていますが、こちらはまだ審査中です。

また、上記の市松エンブレムは、五輪マーク付きや文字付き等、様々なバージョンが出願されているのは当然として、市松模様の様々なバリエーションも東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員名義で登録または出願されています(その1その2その3その4その5その6等)。会場のデコレーションやアニメーション等々で使われるパターンも念のため登録しておくということかと思われます(ちょっと念入りすぎる気もしますが)。

画像

これらはほとんどが全類(45区分)で出願されていますので、商標関連料金だけでも結構な金額が使われています。まあオリンピックの運営上ちょっとでももめごとがあると国際問題になってしまうのでしょうがないのでしょうね。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔のIT特許分析レポート

税込880円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

日米の情報通信技術関連の要注目特許を原則毎週1件ピックアップし、エンジニア、IT業界アナリストの経験を持つ弁理士が解説します。知財専門家だけでなく一般技術者の方にとってもわかりやすい解説を心がけます。特に、訴訟に関連した特許やGAFA等の米国ビッグプレイヤーによる特許を中心に取り上げていく予定です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

栗原潔の最近の記事