「悪魔の才能・邦本」日本人Kリーガー初の快挙なるか。Kリーグは全北現代が5連覇
韓国のプロサッカーリーグKリーグも先週末に2021年シーズンの幕を下ろした。
最終節の第38ラウンドで優勝を決めたのは、全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース。Kリーグでは前人未到の5連覇であり、3年連続してライバルである蔚山現代を退けての優勝だ。
過去2年連続してリーグ戦2位の準優勝に終わってきた蔚山現代は今季、ホン・ミョンボ監督が新たな指揮官に就任。昨季ACLを制覇したキム・ドフン監督との契約延長を行なわず、ホン・ミョンボ監督を電撃招聘したのは10年以上も遠ざかっているリーグ・タイトルを奪還するためだった。
2012年ロンドン五輪で韓国を銅メダルに導き、2014年ブラジルW杯の采配経験もある“韓国サッカー界のカリスマ”もその期待に応えるかのようにチームを鍛え、夏場まではリーグ戦首位をキープ。ACLでもラウンド16で川崎フロンターレ相手に延長PKの末に勝利するなど、勝負強さを見せた。
そしてACL準々決勝では全北現代も延長PK戦の末に撃破。ともに現代(ヒョンデ)を親会社にすることから(蔚山は現代重工業、全北は現代自動車)、“現代家(ヒョンデガ)ダービー”とも呼ばれるライバル対決を制したことで、メディアやファンの間では蔚山がACLとリーグ戦の両方を制して2冠を達成するのではないかとも囁かれた。
だが、蔚山は続くACL準決勝で浦項スティーラーズに敗れたことで失速。FAカップではKリーグ2(2部リーグ)の全南ドラゴンズに敗れ、Kリーグでも下位クラブ相手の取りこぼしが相次ぎ、気がつくと全北現代に抜かれ最終節で勝ち点2点差をつけられまたしても準優勝で涙を飲んだ。
それにしても圧巻だったのは全北の勝負強さだ。今季の全北は主力の高齢化とパフォーマンス低下で浮き沈みが激しかったが、終盤になると確実に白星を重ねた。
総得点は71ゴール。蔚山の64ゴールを上回る得点力だった。
そんな中で存在感を発揮したのが、日本人MF邦本宜裕だ。
浦和レッズ・ユース時代に16歳8カ月でトップチームデビューするも、2017年にアビスパ福岡を契約解除となり、2018年に韓国へやってきた邦本。
1年目はKリーグ2でのプレーながら35試合出場5得点2アシストを記録し、慶南FC(キョンナム)FCのトップリーグ昇格に貢献。その鋭いドリブルから「悪魔の才能」と呼ばれ、2020年1月に全北現代に移籍した。
全北2年目となる今季は中心選手としてチームの優勝に貢献。最終節でチーム2点目となるFWソン・ミンギュの得点をアシストした邦本は今季、公式戦(Kリーグ、FAカップ、AFCチャンピオンズリーグ)通算34試合6ゴール8アシストを記録した。
その活躍が評価されてKリーグ1の年間ベストイレブン候補にも選ばれている。今季Kリーグ1には大邱(テグ)FCのMF西翼などがいたが、日本人選手で年間ベストイレブン候補に入ったのは邦本だけ。
さらに言うと、これまでKリーグでは前園真聖、高原直泰、家長昭博、豊田陽平など数多くの日本代表経験者がプレーしてきたが、日本人選手でKリーグ1の年間ベストイレブンに輝いた選手はいない。
(参考記事:元日本代表から欧州組、有名タレントもそうだった!! 歴代の日本人Kリーガー通信簿)
ただ、Kリーグ2では先日、石田雅俊(大田ハナシチズン)が日本人選手として初めて年間ベストイレブンに輝いた。
邦本がそれに続くことを期待したいが、ライバルは多い。
MF部門には、キ・ソンヨン(FCソウル)、キム・ミヌ(水原三星ブルーウィングス)、キム・ボギョン(全北現代モータース)、キム・テファン(水原三星ブルーウィングス)、ムリロ・エンリケ(水原FC)、ヴァレリ・カザイシュヴィリ(蔚山現代)、セシーニャ(大邱FC)、シン・ジンホ(浦項スティーラース)、オム・ウォンサン(光州FC)、イ・ドンギョン(蔚山現代)、イ・ドンジュン(蔚山現代)、イ・チャンミン(済州ユナイテッド)、イム・サンヒョプ(浦項スティーラース)、ジェルソ・フェルナンデス(済州ユナイテッド)、ハン・ギョウォン(全北現代モータース)らが候補に挙がっている。
また、元Jリーガーでは元C大阪のDFオスマル(FCソウル)、元清水エスパルスのDFイ・キジェ、元ツエーゲン金沢のDFチョン・ウジェ、元サガン鳥栖のMFキム・ミヌ(以上、水原三星ブルーウィングス)、元セレッソ大阪、大分トリニータ、松本山雅FC、柏のMFキム・ボギョン(全北現代モータース)、元FC東京のMFナ・サンホ(FCソウル)もベストイレブン候補に挙がった。
Kリーグの年間ベストイレブンは、各クラブの監督(30%)、キャプテン(30%)、メディア(40%)の投票-で決まり、本日12月7日に行われる「HANA 1Q(ハナワンキュー)Kリーグ1 2021大賞授賞式」で発表される。