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「麒麟がくる」の最終回「本能寺の変」 「信長の野望」でも待ち受ける“破滅の道”

河村鳴紘サブカル専門ライター
「信長の野望・大志」の明智光秀=コーエーテクモゲームス提供

 NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」が本日に最終回「本能寺の変」を迎えます。長谷川博己さんや染谷将太さんの熱演もあり、かつ戦国最大のイベントだけにネットでは大盛り上がりです。「本能寺の変」は、人気ゲーム「信長の野望」シリーズでも特別扱いになっています。

 天下統一を目前にした主君(織田信長)を、重臣(明智光秀)が裏切って殺す「本能寺の変」ですが、「信長の野望」シリーズでは裏技的な存在でした。

 「信長の野望 戦国群雄伝」(1988年発売)では、「信長が少数の兵力で山城国にいて、明智光秀が丹波国にいる」など特定の条件があると発生します。明智軍の大軍に囲まれてしまい、城にこもる「籠城」なので逃げようもなく、小田原城のような堅城ではありません。普通にプレーしたら敗北確実で、久々にプレーして確認しましたが、なかなかの絶望感でした。

 当時はネットもない時代です。口コミで「(戦国群雄伝)で『本能寺の変』が発生するらしい」といううわさ話を聞いて、疑心暗鬼でやってみたら本当に発生し、友達と共に本当に驚いたことを覚えています。

 ゲームの仕組みとして、戦(いくさ)上手の信長には兵士数を最大限持たせますから、普通にプレーすれば「本能寺の変」は見ることはないわけです。おまけに信長でプレーした場合、本能寺の変は発生しては困るイベントです。信長が殺される上、領土の統治・維持が難しくなり、超有能な明智光秀が手ごまとして使えなります。それでも史実に沿う形でゲームに入れてしまうあたりに、クリエーターのこだわりを感じるとともに「本能寺の変」の特別扱い感が伝わってきます。

【参考】「麒麟がくる」の明智光秀 「信長の野望」では秀吉と互角の超有能武将

 なおシリーズ最新作「信長の野望・大志」でも、史実のイベントは多くありますが、「本能寺の変」は特別です。武田氏の滅亡、秀吉の備中高松城水攻めなどとリンクし、ダイナミックに展開します。並みのアニメやドラマよりも、その展開は見ていて熱くなるものがあります。

 そして、同作では「本能寺の変」の後の明智光秀でプレーできるわけですが、超難易度になります。羽柴秀吉や柴田勝家などの織田家の勢力から敵意を向けられ一斉に攻めこまれ、「ヤバすぎるって!」「これクリアできるの?」と泣きたくなるぐらいです。多方面からの侵攻に兵力不足で対応できず、次々と城を落とされていきます。まさに“破滅の道”へ一直線です。有力家臣が主君を倒してトップに上り詰めるのは歴史的によくある話ですが、謀反(むほん)は失敗の方が多いわけです。

 「本能寺の変」の後の光秀は、残念ながら“ヤラレ役”という立ち位置になります。「本能寺の変」後の光秀の孤立感・絶望感を大河ドラマで再現しても、長谷川さんが演じる光秀に感情移入した視聴者に不快感を与えるのは確実で、「本能寺の変」を最終回にしたのも妥当でしょう。秀吉の「中国大返し」で不意をつかれて、敵より劣る兵力で山崎の戦いに挑んで負け、逃げる最中に命を落とすのも苦しいところです。

 なお、徳川家康の晩年の側近だった僧侶・天海が実は光秀だった……という有名な説があり、ネットではそこに期待する声も少なくないようです。そうすればお話的にスッキリするのは確かですが、大河ドラマという影響力のある番組で採用されると、そこでも賛否両論になりそうです。ともあれ、最終回を楽しみにしたいと思います。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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