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松野未佳、芸能界に入って分かった父の大きさ

中西正男芸能記者
松野頼久前衆院議員の次女で女優の松野未佳

 2016年にミス日本グランプリに選ばれた松野未佳さん(22)。女優として映画「ウスケボーイズ」(10月20日公開)などに出演する一方、前衆院議員の松野頼久氏の次女として育ったお嬢様ぶりがフィーチャーされ、日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」などでも注目を集めています。小さな頃は人前に出るタイプではなかったと言いますが「人前でお話をさせてもらったりするようになって、父がやっていたことの大変さが、少しですけど、分かった気がします」と大きな目を輝かせました。

引っ込み思案

 ミス日本に出るまでは、子どもの頃から、引っ込み思案で根暗なタイプでした。父もそうですし、代々政治家の家系で育っていますし、自分もいつかは政治の世界に行くのかなと。そんなことを思いつつ暮らしてきて、世に出るきっかけというか、引っ込み思案ではなかなか難しいと思って受けたのがミス日本だったんです。そこで、本当にありがたいことにグランプリをとることができて、そこから雑誌「CanCam」のファッションページのお仕事をさせていただいたりもする中で、こんなに華やかな世界があるんだと知りました(笑)。

 グランプリをとってからは、人前でスピーチするという機会が本当にたくさん出てきました。もともとそんな性格だったので、なかなかできずに怒られてばかりだったんですけど、やっているうちに度胸がついてくるみたいで。最初はスピーチ前日の夜は寝られないくらいだったんですけど、自然とぐっすり寝られるようになっていきました(笑)。

父への思い

 人前に出る仕事をするようになって、初めて分かったこともありました。以前は父を見ていても「いろいろたたかれているし、もっとうまくできないものなの?」なんて、今から思うとお気楽で、生意気なことを考えたりもしてたんです。だけど、自分が囲み取材とかで質問を受けると、やっぱりあがりますし、同じようなことを聞かれているうちにだんだん思考能力もなくなってくるというか。もちろん、フィールドも違うし、立場も違うし、何もかも状況は違うんですけど、公の場で質問に答えるということがこんなにも大変だとは分かりませんでした。思わぬことをポンと言っちゃうこともあるかもしれないし、父はまだ頑張っている方だなと思うようにもなりました(笑)。父は私がこの仕事をする時に「(自分の姿をさらして)外に出るって大変だよ」とサラッと言ってくれたんですけど、その意味が今になって少しは分かった気がします。

 父は昔らすごく甘くて何をしてもOKだったんですけど、その分、母が厳しかったんです。幼稚園の頃、大人の方に「何歳?」って聞かれて「5歳!」って答えたら、耳を引っ張って奥の方に連れていかれて「5歳『です』でしょ!」と怒られてました。その年ごろでも、目上の方にはちゃんとした言葉遣いをしないとダメだと。あとは、幼稚園の時から夏休みは塾の合宿が1ヵ月丸々あって、朝の8時から夜の8時まで12時間みっちり勉強したりもしていました。勉強以外にも、英語、習字、ピアノ、マナーと…。もう昔のことすぎて覚えていないところもありますけど(笑)、とにかく大変だった記憶はあります。

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厳しいしつけが武器に

 ただ、今になってそれが役立っているなと思うこともあって、芸能界に入ってよく言われるのが「丁寧だね」ということ。LINEやメールがとにかく丁寧だと。皆さん「○○でございます」とか「恐れ入ります」とか、あんまり言わないんだなと気づきました(笑)。私の中では「恐れ入ります」は謙遜しすぎず、失礼にもならず、とても使い勝手のいい身近な言葉なんですけど、「恐れ入ります」と申し上げると「うわ、恐れ入れられちゃったよ」と皆さんが驚かれまして…。

 また、常識がないというか…、いわゆる世間の常識から外れているところがあるとも言われるんですよね。それがいろいろな意味でおもしろいねとも言われまして。昨年秋に「さんま御殿」に出していただいた時は、その直前に父が衆院選で落ちていたので、本当は大変なことなんですけど、なんか「もうこれで何を言ってもいいんだ」と変に前向きに受け取っちゃいまして(笑)。ただ“お嬢様スペシャル”というテーマで呼んでいただいたのに収録の時には落選しているという流れだったので「せっかく呼んでもらったのに、落ちていてすみません…」とストレートにさんまさんに謝ったら、さすがにと申しますか、そこに関してはさんまさんもあまり突っ込んだりされなかったので「あ、こういうことは、さすがにしゃべりにくいことなのかな…」とも逆に感じもました(笑)。

今後への思い

 今は女優のお仕事もさせてもらっているんですけど、初めてお芝居の仕事をやらせてもらったのが、昨年撮影で今秋公開予定の映画「ウスケボーイズ」(主演・渡辺大)。この作品ではセリフはなかったんです。お店のシーンで、主要キャストの安達祐実さんが前の席にいらっしゃって、後ろで私はワインを飲んでいるというシーンでした。ただ、それがこんなにできないものかと。何かをするわけでもなく、ただそこにいることがこれほどまでに難しいというのが衝撃でした。今はまだ代表作がないので、一つ誇れるものがあったらいいなと思います。

 ま、細かいことですけど、やりきったというか、ずっと続けていることでいうと、中学生から豆乳を飲んでいるんです!なかなか女性らしくないというのが悩みで、豆乳を飲むと女性ホルモンが出ると聞いて中学2年くらいから飲み始めたんです。効果ですか?おかげで胸が大きくなりました(笑)。ま、ただ、たとえば牛乳を飲み続けた自分と豆乳を飲んできた自分の比較対象はいつまで経ってもできないので難しいですけど、私は豆乳のおかげだと思っています(笑)。豆乳みたいに、自分の中で続けていけること、そして、それが新しい自分を作ってくれるもの。そんなものを見出していきたいと思っています。

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(撮影・中西正男)

■松野未佳(まつの・みか)

1995年7月29日生まれ。熊本県出身。ケイパーク所属。父は前衆議院議員の松野頼久。慶應義塾幼稚舎、慶應義塾中等部、慶應義塾女子高等学校卒業。慶應義塾大学文学部在学中。2016年、ミス日本グランプリに選ばれ、芸能活動を始める。女優として読売テレビ「ブラックリベンジ」(2017年)、映画「ウスケボーイズ」(10月20日公開)などに出演する一方、浮世離れしたお嬢様キャラクターで日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」などでも注目を集める。5月14日発売の「週刊プレイボーイ」ではグラビアにも挑戦している。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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