「ちょっと大切な人にお土産のケーキを買いたい」。そんな時、皆さんも好きなケーキ店を思い浮かべると思いますが、今回はパティスリー「カキノキ」をご紹介します。ハロウィンを前に、子どもたちに大人気のモンスターエクレアが登場。オーナーの池尻麻里恵さんのケーキ作りを覗いてきました。

一つ目のモンスターを食べちゃおう

しっかり焼き上がったシュー生地に、カスタードクリームと生クリームがたっぷり。上からチョコレートが流れて、モンスターの目をかすめます。一口食べると、サクサクした食感とクリームが混じり合い、「モンスターを食べている」というワクワクを感じられるデザートタイムになりました。

カキノキで、このシーズンになると登場する「モンスターエクレア」です。モンスターという名前の通り、シュー生地の間から一つ目が覗くユニークな作り。シュー生地もモンスターのように、ちょっぴりゴツゴツした仕上がりです。

ハロウィンパーティのために家族で購入するなど、子どもたちに大人気だそう。１個400円です。10月31日までショーウインドウに並びます。

「甘さはちょうど良い具合に調整しています。ケーキは、甘すぎても美味しくなくなってしまい、甘さが足りないと気持ちが悪くなってしまうためです」と池尻さん。実際に、ご提供いただいて食べてみると、甘すぎず食べ応えもしっかりありました。

看板商品の「カキチー」

カキノキの看板商品は、「カキノキチーズ」というバスク風チーズケーキです。１カット390円。こんがりと表面に焼き色がついていて、キャラメル風味が堪能できます。中身はしっとりとした濃厚な仕上がり。

レシピは池尻さんのオリジナルです。「チーズは２種類使っています。通常は卵黄と卵白まで使うところを卵黄だけに限定していたり、生クリームをこだわって使っていたりするので、しっかりした濃厚さを味わってもらえると思います」

「カキチーが一番好き」「カキノキのチーズケーキよりも美味しいチーズケーキと出合ったことがない」と、リピートするファンもいるとか。

カキノキチーズをベースに、トッピングなどをアレンジしたラインナップも人気。季節に応じて５〜６種類ほど並びます。今の時期は、イチジクが乗っているものや、ラムレーズンが並んでいました。

その小さな愛らしい姿には、「ケーキは大きければ良いというものではない」という池尻さんの考えがあるそう。

「ケーキを食べすぎてしまって、罪悪感を感じたり、甘さのため気持ち悪くなってしまっては本末転倒。もう少し食べたいなと思わせるくらいのボリュームで提供しています」と教えてくれました。

子どもの頃の幸福感が原点

池尻さんはパティシエ歴10年ほど。子どもの頃は、近所のケーキ店でケーキが作られる様子をずっと眺めていたと言います。そして、当時はケーキを買ってもらう体験が「めったになくて、とても嬉しかった」という思い出を話してくれました。

特別な時に食べるケーキの幸せな記憶が、池尻さんがパティシエになった原体験です。高校生の頃に、地元で美味しいケーキ店と出合い、専門学校を経て修行に入りました。

カキノキの店舗内には、お客さんがケーキを作っているところを覗ける小さな窓があるのですが、それは子ども時代の池尻さんが見ていた景色を今の子どもたちにも見て体験してほしいから。「子どもさんが抱っこしてもらって、覗けるような高さになっています」

「誕生日やクリスマスにカキノキのケーキを選んでくれたら、嬉しいです」と笑顔を見せる池尻さん。誕生日用のホールケーキは、似顔絵を乗せたタイプなどイラストケーキの注文を受け付けています。10日前までに予約してほしいそうでした。

子ども時代にケーキがもたらしてくれた幸福感を今もしっかり持ち続けている池尻さん。「カキノキのケーキが、自分へのご褒美や誰かにプレゼントしたくなるケーキであればいいなと思います。これからも、お客さんが納得してくれる味を目指していきたいです」と話していました。店内はケーキ愛に満ちているようでした。