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「ミドリガメ」の法律改正で、販売・自然に放すことは犯罪行為に?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

アカミミガメ(通称・ミドリガメ)は、以前は露店でカメ釣りをすることができました。赤ちゃんのアカミミガメは、手のひらに乗るほど小さくかわいいのでペットショップで売られていました。

そんなアカミミガメが6月1日から野外に放したり販売したりすることが禁止されます。その理由は、アカミミガメが外来生物法に基づく「条件付き特定外来生物に指定」されるからです。

いま、アカミミガメを飼っている人は、どうしたらいいのかを見ていきましょう。

アカミミガメをいま飼っている人はどうしたらいいの?

環境省 自然環境局 「日本の外来種対策」サイトのアカミミガメの項目 より 
環境省 自然環境局 「日本の外来種対策」サイトのアカミミガメの項目 より 

これまで同様、家庭でペットとして飼育できます。無償で譲渡することも大丈夫です。ご安心ください。書類などの提出はいりません。アカミミガメを飼育している人は、終生飼養をしてあげてください。

以下の行為が罰金や懲役の対象です。

・アカミミガメに日光浴させていたら、蓋をしていなかったので逃げてしまった。

・アカミミガメが部屋の窓を開けっ放しにしていたら逃げてしまった。

・アカミミガメの寿命が約40年あるといわれているので、飼うのが面倒になったので、川や湖に放した。

・アカミミガメを販売する。

つまり、アカミミガメを自然に放したり、逃がしたり、販売したりすることもダメなのです。

アカミミガメの条件付き特定外来生物って?

アカミミガメは6月1日から外来生物法に基づく「条件付き特定外来生物」に指定されます。

「特定外来生物」※と異なり、条件付き特定外来生物は、今まで通り飼うことができます。

2019年の調べによりますと、アカミミガメの全国の世帯における飼育数は約110万世帯で約160万匹と推定されています。その命を守ることはできます。

アカミミガメを放すと生態系に悪影響を及ぼす恐れがあるため、上述の罰金や懲役の対象行為をすると、最大で3年以下の懲役か、300万円以下の罰金が科されます。

※特定外来生物というのは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」でリストされ、飼育・運搬などが禁止されている生き物たちです。具体的な特定外来生物としては「カミツキガメ」、「ヒアリ」、「ウシガエル」です。

アカミミガメのなにが問題なの?

環境省 自然環境局 「日本の外来種対策」サイトのアカミミガメの項目 より
環境省 自然環境局 「日本の外来種対策」サイトのアカミミガメの項目 より

もともとアカミミガメは、米国の東南部からメキシコに分布している動物です。日本には、1950年代後半からペットとして輸入されました。

アカミミガメは、雑食で魚類、甲殻類、水生昆虫、水草などを食べています。繫殖力が旺盛です。日本には、アカミミガメの天敵であるワニや大型のヘビなどがあまりいないので、自然に放すとアカミミガメのパラタイスになり増えるのです。

推定ですが、アカミミガメは野外に800万匹いるといわれています。この数をアフリカゾウに重量換算すると、2400頭ぐらいになるそうです。

そのため野外にいるミドリガメは生態系に影響を及ぼします。日本の在来種のニホンイシガメの生活に影響を及ぼしたり、カルガモのヒナを食べたりします。水草も食べるのでなくなります(水草の生えている辺りは生物がいますが、水草がなくなるとそこに棲んでいる生物も生きづらくなります)。それ以外に、レンコンの芽を食べるので農作物にも被害が及びます。

アカミミガメの相談窓口

環境省 自然環境局 「日本の外来種対策」サイトのアカミミガメの項目 より
環境省 自然環境局 「日本の外来種対策」サイトのアカミミガメの項目 より

いま、ペットとしてアカミミガメを飼っている人は、愛情を持って終生飼養をすることです。このように、アカミミガメを放すと日本の生態系に悪影響を与えます。やむを得ない理由で飼えなくなった場合は、新しい飼い主を見つけましょう。自然に放すとカルガモなどのヒナの命を奪うことになるのです。

ペットを飼うことは、その子の一生を見届けることだということを忘れてはいけないのです。

いま、環境省の方で、上記のように相談ダイヤルがありますので、アカミミガメの飼育に悩んでいる方は問い合わせください。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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