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大器・伊藤匠五段(19)竜王戦本戦を駆け上がる! 若手実力者・大橋貴洸六段(29)に快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月6日。大阪・関西将棋会館において第35期竜王戦決勝トーナメント▲大橋貴洸六段(4組優勝、29歳)-△伊藤匠五段(6組優勝、19歳)戦がおこなわれました。

 大橋六段先手で10時、対局開始。戦型は矢倉となりました。積極的に動いたのは後手番の伊藤五段。玉が薄くなるのもかまわず、ぐいぐいと力強く、中段に金銀を押し上げていきます。

 大橋六段は飛車を前線に飛び出し、横歩を取ります。伊藤五段はそこをとがめ、飛車の生け捕りに成功。大きくポイントをあげました。

 伊藤五段は手にした飛車を大橋陣に打ち込んで自然に優位を拡大。大橋六段も伊藤陣の突破を試みますが、相手の薄い玉が遠く、鋭鋒の切先が届きません。

 最後は大橋六段が攻防ともに見込みがなくなり、投了。21時14分、86手で伊藤五段の勝ちとなりました。

 現役最年少棋士で、大器と目される伊藤五段。佐々木大地七段、大橋六段と若手実力者を連破して、今期竜王戦本戦で超大型の台風となる可能性が高まってきました。

 伊藤五段は次戦、稲葉陽八段(1組5位)と対戦します。

 もし伊藤五段が藤井聡太竜王への挑戦権を獲得し、若き2人による七番勝負が実現すれば、歴史的事件です。

 今期竜王戦では敗退した大橋六段。王座戦では挑戦者決定戦で豊島将之九段と対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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