Yahoo!ニュース

“下町のダル”吉本祥二、公式戦初白星するり…も152キロ剛速球で存在感キラリ

田尻耕太郎スポーツライター

上林がタイムリー三塁打2本

9月25日(金)からウエスタン・リーグは今季最終カード。ホークスは雁の巣球場でカープと3連戦。“本拠地”雁の巣のラストカードだ。

広島     021000030 6

ソフトバンク 110002000 4

【C】塹江、◯薮田(6勝1敗)――中村亘、白濱、倉

【H】山田、吉本、伊藤大、●日高(0勝1敗)、金無英――拓也、鶴岡

<本塁打>【C】高橋1号

【戦評】

ホークスは8回に逆転を許し、“ラスト”雁の巣3連戦の初戦を落とした。

序盤は点を取り合った。ホークスが初回に先制するも2回表に高橋のタイムリーなどで逆転を許す。2回裏、2アウト一塁から上林が右中間に三塁打を放ち同点とした。

その後勝ち越されて迎えた6回裏、2アウトながら走者を二塁に置くと、江川がレフトへ同点タイムリー。さらに続く上林がこの日2本目のタイムリー三塁打を放って逆転に成功した。

だが、このまま逃げ切りたかったホークスは8回、高橋に逆転3ランを浴びた。走者をためた日高が今季28戦目登板にして初黒星を喫した。

吉本祥二、2軍戦今季初マウンド

188cmの長身右腕、吉本祥二投手
188cmの長身右腕、吉本祥二投手

4年目大型右腕の吉本祥二が今季2軍公式戦に初登板した。1点ビハインドの6回からマウンドに上がり、四球を1つ与えたが1回無安打無失点の好投を見せた。その裏に味方打線が逆転に成功し、勝ち投手の権利を得たが8回表に試合をひっくり返されたためにそれは叶わず。吉本は昨年4月1日のオリックス戦(神戸サブ)以来、2軍公式戦は2度目の登板で4年目での初勝利がかかっていただけに、試合後は何人ものチームメイトから「惜しかったな」と声を掛けられていた。

入団4年目、今年から育成枠に

今日のマウンドに向けて「結果に拘らず、今までやって来たことを出す。それだけを考えていました」という。昨年までは背番号33だったが、今季は121。育成選手契約となった。11年ドラフト2位で、足立学園高校から入団。本人は「全然下町じゃない」というが、東京都足立区で生まれ育った身長188cmの右腕は「下町のダルビッシュ」の異名をとった。同年1位は武田翔太。「2人のダルビッシュ」として大いなる期待を受けた。

今年、自己最速の154キロ

だが、故障もありなかなか結果でない。昨年は腰椎分離症に悩まされた。今年6月の韓国遠征で実戦復帰。今季3軍戦では18試合に登板し、勝ち負けナシの防御率5.79。「初めは良い結果を残せなかったけど、最近は点を取られていない」と数字には表れない手応えは掴んでいた。最大の武器となる直球も自己記録を更新する154キロを計測するまでになった。「毎日のように投げ込みを行い、フォームが固まった」と話す。

「今は真っ直ぐとフォークの2種類。1回入魂の気持ちで、1イニング、1球を全力でという思いです」

何とか来季に繋がる秋に――吉本は思いを繋げるべく、右腕を全力で振り抜く覚悟だ。

5日ぶり実戦の江川が3安打3得点

江川智晃が5日ぶりに実戦に戻ってきた。ウエスタン・リーグ優勝を決めた20日(日)の阪神戦(守山)で腰を痛めて途中交代していたが、25日(金)は「1番ライト」でフル出場し4打数3安打1打点1四球。相手捕手が前にこぼした際に一塁から素早く二塁を陥れたり、3度ホームに生還したりするなど不安を感じさせないプレーを見せた。現在16本塁打はカニザレスに1差の2位。残り2戦、タイトルに手が届くか。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

田尻耕太郎の最近の記事