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フェザー級を見据えた井上尚弥 階級の壁を超えられるのか

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ボクシングスーパーバンタム級世界4団体統一王者・井上尚弥(大橋ジム所属)が、東京都内で行われたイベントに出演し、今後のキャリアについて語った。

年3試合のハイペース

井上は12月に今年3試合目となる防衛戦を控えている。通常、世界戦クラスの試合はコンディション調整や怪我のリスクを考慮し、年に2回程度が一般的だ。しかし、井上は5月に東京ドームでルイス・ネリ(メキシコ)と、9月に有明でTJ・ドヘニー(アイルランド)との防衛戦を行った。年齢とともにコンディション調整が難しくなる中、「自分のキャリアをさらに加速させたい思いから、今年は年3試合に挑戦しています」と語った。

12月の対戦相手には、19戦全勝(8KO)のサム・グッドマン(オーストラリア)が有力候補とされる。グッドマンは世界タイトル獲得実績こそないが、堅実なボクシングを見せる選手で、油断は禁物だ。

井上は「今の階級で引き続き戦うか、それとも体をしっかり作り直して階級を上げるか、その計画を立てながら、この12月の試合に臨みます」と語った。この試合の後には、5階級目となるフェザー級への進出が期待されている。

フェザー級での戦い

井上はこれまでライトフライ級から階級を上げ続けてきた。フライ級を飛ばしているため、フェザー級は実質6階級目となる。通常、一つ階級が違うだけで相手のパワーや体格に大きな違いがあり、ボクシングスタイルも調整が必要となる。井上もバンタム級では序盤でのKOが多かったが、階級を上げてからは中盤以降のKOが増えている。

前回のドヘニー戦でも、相手は計量後1日で11kg増量しており、井上は慎重に戦った。階級が上がることで、こうした体格差はさらに大きな要因となるだろう。

来年にはフェザー級進出が現実味を帯びてきた。現在のフェザー級王者には以下の選手が君臨している。

WBA  ニック・ボール(イギリス)

WBC  レイ・バルガス(メキシコ)

暫定  ブランドン・フィゲロア(アメリカ)

IBF  アンジェロ・レオ(アメリカ)

WBO ラファエル・エスピノサ(メキシコ)

フェザー級に進むと、さらに体格差が壁となるだろう。特にWBO王者ラファエル・エスピノサは身長185cm、リーチ188cmと非常に大きい。対して井上は身長165cm、リーチ171cmで、明らかなサイズの違いがある。

しかし、井上はパワーだけでなくスピードやテクニックも世界トップクラスのため、フェザー級でも十分に戦えるだろう。さらに上の階級に進むかは未知数だが、タイトルを獲得する実力は十分に備えている。階級の壁を超えて、どんなボクシングを見せてくれるか楽しみだ。

井上は「本当にボクシングが好きだからこそ、まだまだ強くなりたいという気持ちがある。ボクシングへの愛がある限り、この道を突き進みたい」と語っている。

これまでの常識を覆してきた井上の今後の挑戦とキャリアに注目したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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