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対戦車用二重貫通弾頭「APFSDS+HEAT」のロシア特許

JSF軍事/生き物ライター
ロシア企業「ディエーリタ」の特許より後部に成形炸薬が仕込まれたAPFSDS

 二重貫通弾頭型の対地用バンカーバスター弾頭や対艦用シーバスター弾頭は、先駆弾頭(成形炸薬)と主弾頭(徹甲榴弾)で構成されています。先行する成形炸薬の爆発によるメタルジェットで開けた穴に後続の徹甲榴弾が突入して貫通後に起爆します。

【参考】対艦用二重貫通弾頭「シーバスター弾頭」の目的と構造

 一方で二重貫通弾頭型の対戦車用徹甲弾がロシア企業「ディエーリタ(Дельта)」から特許として提出されていますが、こちらは順番が逆で主弾頭のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)が先に突入し、後部に仕込まれたHEAT(成形炸薬)が後から起爆してメタルジェットにより貫通を後押しし、貫通力を30%アップさせるという触れ込みです。APFSDSのタングステン弾芯が装甲に穴を穿ち、成形炸薬は貫通しきれなかった際の最後の一押し用です。

 通常ならば徹甲弾の後部に炸薬が仕込まれていたら徹甲榴弾であり貫通後に起爆して内部を破壊する目的ですが、この特許の砲弾の場合では後部の成形炸薬はあくまで装甲を貫通する為の補助用であり、徹甲榴弾には分類されません。使用された技術の目指す意図からAPFSDS+成形炸薬の二重貫通弾頭として分類されるでしょう。ただし後部の成形炸薬は小さいですが榴弾としても限定的に機能するので(タングステン弾芯よりも成形炸薬の直径が大きいので、徹甲榴弾のように内部に侵入後の起爆は無理)、徹甲弾と榴弾の両方の能力を持つ弾薬だとも言えます。

ロシア企業「ディエーリタ」の特許より後部に成形炸薬が仕込まれたAPFSDS。日本語の説明は筆者が追記
ロシア企業「ディエーリタ」の特許より後部に成形炸薬が仕込まれたAPFSDS。日本語の説明は筆者が追記

RU2668580C1 - Бронебойный оперенный подкалиберный снаряд

 なお特許タイトルの”Бронебойный оперенный подкалиберный снаряд”とはロシア語で「装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)」という意味なので、この特殊なAPFSDS+成形炸薬の特徴を指してはいません。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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