Yahoo!ニュース

梅雨シーズン突入!今年は梅雨はどうなる?なぜ気象庁は「梅雨入りしたとみられる」って言うの?予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

21日、気象庁は沖縄と奄美が梅雨入りしたとみられると発表しました。平年と比べ沖縄は11日、奄美は9日遅い梅雨入りで、いずれも去年より3日遅くなっています。

本州付近の梅雨入りはまだもう少し先で、平年日は九州南部は5月30日、関東甲信は6月7日ですが、沖縄・奄美が梅雨に突入したことによって、本州付近でもこのさきじめじめ・むしむしする日が圧倒的に多くなりそうです。

沖縄・奄美の梅雨入りが遅れたことで今年2024年の梅雨の降水量はどうなるのか、そもそもなぜ気象庁は「梅雨入りしたとみられる」という言い方をするのか、気象予報士が解説します。

「梅雨入り」は実はボンヤリした現象

気象庁が使う「梅雨入り」という用語は、実は定義そのものがボンヤリしています。梅雨というのは季節が春から夏へと進む際に雨が多くなる期間のことですが、その始まりと終わりには、「5日程度の移り変わり」があるとされているのです。

つまり、梅雨入り発表が5月21日だったとしたら、実際には5月19日~5月23日までの5日間のどこかで「梅雨に入ったと推測できる」というわけです(梅雨明けについても同様)。

しかも「推測できる」だけで、あとから振り返ってみたら実は違った!ということもあり得るため、気象庁では毎年9月に梅雨入り・梅雨明けの「確定値」を発表し直しています。
梅雨入りというのはこのくらいボンヤリした話なので、どうしても「みられる」という動詞が必要になるのです。

2024年の梅雨は遅い?降水量は??

沖縄も奄美も平年より10日ほど遅い梅雨入りになったことで、本州付近の梅雨入りも遅れるかも?と思う人がいるかもしれません。
しかし、実際にはあまり関係ないのです。
沖縄などで梅雨入りが平年より遅くても本州付近の梅雨入りが平年並みになることが多いですし、過去にはむしろ早まった年すらあります(ちなみに平年というのは、直近の30年間の平均のことです)。

では降水量はというと、6月は西日本を中心に降水量が平年を上回る可能性が高いと気象庁は発表しています。

季節予報の6月降水量予想(気象庁HPを元に作成)。月に一度発表される3か月予報のうちの6月分を示しているが、毎週発表される最新の1か月予報でも同じ傾向になっている。
季節予報の6月降水量予想(気象庁HPを元に作成)。月に一度発表される3か月予報のうちの6月分を示しているが、毎週発表される最新の1か月予報でも同じ傾向になっている。

これは、梅雨の降水量を決める重要な要素である太平洋高気圧が、いつもより西に大きく張り出すと予想されているためです。

梅雨時期の雨は平年並みであっても災害につながることがあるためもちろんどの地域でも備えをしていただきたいですが、西日本では一層の注意が必要です。

今週からむし暑さアップ!服装を切り替えて

沖縄と奄美が梅雨入りしたことで、このさきは日本の近くに梅雨前線が停滞する日が多くなり、まだ梅雨入り前の本州付近にも湿った空気が格段に入りやすくなります。

先週まではカラッとしたすがすがしい空気の日が多かったのが、一気にじめじめ・むしむしする日が増えることに。湿度が高いと、気温が大して高くなくとも熱中症を含め体調を崩す人が増えます。

首もとや袖口が詰まっていない、風通しのよい服を選ぶようにしたり、汗が乾きやすく肌触りのよい素材の服を探すなど、服装を切り替えることで体を守っていきましょう。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

植松愛実の最近の記事