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上沢直之のソフトバンク入りに見る韓国の事例 KBOではポスティング移籍後の国内復帰は必ず「古巣」

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表/KBO取材記者
今年2月にMLBから古巣に復帰したリュ・ヒョンジン(写真:ハンファイーグルス)

今年1月、日本ハムからポスティング制度を利用して米大リーグ、レイズとマイナー契約を結んだ上沢直之が今季を終え国内に復帰。その復帰先が古巣の日本ハムではないことが大きな話題となっている。上沢はソフトバンクと4年契約を結んだ。

日本(NPB)同様に韓国(KBO)もアメリカ、カナダ(MLB)間との選手契約に関する協定を締結し、ポスティング制度によりMLB球団に移籍することができる。その際NPBの球団は選手の契約保留権を放棄(自由契約)するがKBOリーグでは異なる。

KBOではポスティング移籍した選手について、前所属球団はNPBの任意引退選手にあたる「任意解約選手」を申請する。

今年2024年はポスティング制度でジャイアンツ入りしたイ・ジョンフ外野手(前キウム)、パドレス入りしたコ・ウソク投手(前LG)はどちらも2月14日に任意解約選手となった。

「任意解約選手」が国内に復帰する場合だが、「任意解約選手の復帰は公示日の1年後から申請可能で、復帰する選手は前所属球団と契約を締結しなければならない」(2024KBO規約第66条「復帰申請」、第68条「復帰球団」)となっている。

KBOでは2013年にドジャースにポスティング移籍したリュ・ヒョンジン投手が、今季12年ぶりに国内に復帰。2013年1月10日に公示された任意解約選手扱いは、今年3月4日に解除された。リュ・ヒョンジンは古巣ハンファに復帰した。

またKBOでは「海外進出後、国内復帰した選手は所属選手登録後、4シーズン活動した場合にFA資格を再取得できる」としている(同規約第164条「FA資格の再取得」)。

なおKBOでポスティング制度を利用するには「7シーズン以上活動した選手について球団はリーグコミッショナーの事前承認を得て、外国プロ球団に該当選手の選手契約を譲渡することができる」(第104条「外国プロ球団に対する選手契約の譲渡など」)となっている。

整理すると「KBOではポスティング制度を利用して海外移籍した選手の保有権を前所属球団は放棄せず、国内に戻る場合の復帰先は必ず前所属球団。次にFA権を行使できるのは最短で4シーズン後」となる。

これまでKBOからポスティング制度を利用してMLB球団と契約を結んだのは7選手。うち3選手が後に国内に復帰。前所属球団と契約した(下記の☆印の選手)。

KBOリーグからポスティング制度を利用してMLB球団と契約した選手

☆リュ・ヒョンジン(投手) ハンファからドジャース(2013年)

カン・ジョンホ(内野手) ネクセンからパイレーツ(2015年)

☆パク・ピョンホ(内野手) ネクセンからツインズ(2016年)

☆キム・グァンヒョン(投手) SKからカージナルス(2020年)

キム・ハソン(内野手) キウムからパドレス(2021年)

イ・ジョンフ(外野手) キウムからジャイアンツ(2024年)

コ・ウソク(投手) LGからパドレス(2024年)

今オフは韓国を代表する二塁手キム・ヘソン(キウム)がポスティング制度を利用したMLB移籍を目指している。もし実現するとキウムからは前身のネクセンを含めて5人目のポスティング移籍となる。

⇒ 2024年KBOリーグ個人成績(ストライク・ゾーン)

(関連記事:リュ・ヒョンジンがメジャーから12年ぶりに古巣ハンファに復帰 23日にキャンプ地沖縄入り

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表/KBO取材記者

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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