ひとりでの温泉旅（ソロ温泉）は気軽さが魅力だ。シンプルに温泉が好きな人なら、宿の豪華度や洗練度、おもてなしよりも、温泉の質やリーズナブルさを重視する傾向が強い。

そんな人が重宝するのは、ひとりでも素泊まりプランを選択できる宿だ。サービスや部屋は簡素でも、源泉かけ流しの上質な温泉につかれて、しかも食事付のプランよりも格安で宿泊できる。それで十分だ。

そこで、今回は5000円以下で宿泊できる素泊まり宿を5カ所紹介したい。

玉造温泉・翠鳩の巣（島根県）

『枕草子』に記述があることから三名泉のひとつに数えられる温泉地。「美肌の湯」として評判の源泉で、女性にも人気が高い。大型の旅館が多く、源泉かけ流しの湯船が少ないのが玉に瑕だが、温泉ゲストハウス「翠鳩の巣」には、小ぶりな湯船ながら源泉かけ流しの内湯をもつ。無色透明の清澄な湯は肌にしっとり馴染み、「美肌の湯」を実感できるクオリティ。館内もリノベーションされていて、清潔感がある。1泊素泊まり4400円～（簡易個室ベッドルーム）からで、シングルルームでも4950円～。朝食付きプランもあり。

大沢温泉・湯治屋（岩手県）

花巻南温泉郷の一角を占める大沢温泉は、２つの個性の異なる建物で構成される一軒宿。なかでも自炊部のある「湯治屋」はリーズナブルな料金（1人泊3200円～）で湯治を体験できるので、一人泊や連泊にも向いている。川に面した混浴露天風呂「大沢の湯」が名物。館内には食事処や売店もあり、湯治初心者も安心。湯船も複数あるので、敷地内で湯めぐりを楽しめる。

俵山温泉・ゲストハウスねる山（山口県）

俵山温泉はもともと湯治文化が根づいており、各宿に滞在する宿泊客は街の中心にある共同浴場に通うのが俵山のスタイル。昔ながらの小さな宿もあるが、近年オープンした「ゲストハウスねる山」も、館内に温泉はないが、徒歩数十秒の距離に共同浴場「町の湯」がある。Wi-Fi可でワーキングスペースもあるので、ワーケションにも向く。1人素泊まり4200円～。

筋湯温泉・大黒屋（大分県）

打たせ湯の共同浴場が名物の高原の温泉地。歴史ある旅館がリノベーションされて素泊まりの宿として生まれ変わった。名物の切石の湯には無色透明の源泉がかけ流し。6部屋のみの小さな宿なので、静かな時間を過ごすことができる。ひとり１泊4280円～なので連泊やワーケーションでの利用もおすすめ。

川渡温泉・高東旅館（宮城県）

鳴子温泉郷の一角を占める川渡温泉は湯治場の素朴な風情が魅力で、ひとり旅にも向く。リーズナブルな湯治宿が健在で、なかでも高東旅館は1泊素泊まり（4590円～）から利用でき、湯治初心者にもおすすめ。炊事場もあるので、簡単な調理もできる。うぐいす色の濁り湯も気持ちいい。鳴子温泉郷はさまざまな個性的な湯が湧くので、同宿を拠点に湯めぐりを楽しみたい。