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岩手県がインフルエンザ流行期入り 新型コロナとの同時流行が現実味

倉原優呼吸器内科医
(提供:イメージマート)

都道府県が独自にまとめている感染症発生動向調査の週報速報によると、岩手県がインフルエンザの流行期入りとなりました。日本各地でもじわじわと増加傾向にあり、新型コロナとの同時流行が現実味を帯びてきました。

岩手県が流行期入り

2022年第49週(12月5日~12月11日)のインフルエンザ定点報告数は、岩手県で1.57人となり流行期入りの目安となっている1人を超えました(1)。

盛岡市内でインフルエンザ患者数が突出して多くなっており、市内の学校では2年ぶりとなる学級閉鎖が報告されています。同医療圏では、すでに4病院長が会見を開き新型コロナによる医療逼迫について訴えており、同時流行でさらに逼迫にいたらないか懸念されるところです。

定点報告数」というのは、1週間に1つの定点医療機関におけるインフルエンザ患者を示したもので、1人を超えると「流行期入り」と判断されます。

現時点では、岩手県のみが突出して1人を超えている状況ですが、私が勤務している大阪府でもじわじわと増加傾向にあり、岩手県に次ぐ0.65人となっています。その後、富山県0.58人、東京都0.50人、熊本県0.50人と続きます(図1)。

図. 2022年第49週(12月5日~12月11日)の各都道府県のインフルエンザ定点報告数(各都道府県の感染症発生動向調査週報速報データをもとに筆者作成)(イラストはイラストACより使用)
図. 2022年第49週(12月5日~12月11日)の各都道府県のインフルエンザ定点報告数(各都道府県の感染症発生動向調査週報速報データをもとに筆者作成)(イラストはイラストACより使用)

定点報告数の全国平均は0.25と先週の0.13から約2倍になっており、今後他の地域での流行期入りが懸念される状況です。

流行しているのはA型インフルエンザ

これまで私たちは、新型コロナ対策を頑張ってきました。これにより、インフルエンザにかかることが少なくなり、同ウイルスに対する免疫が薄れてしまった可能性があります。そのため、日本はいつ流行してもおかしくない状況にあるわけです。

国際的には、H3N2型という病原性の高いA型インフルエンザウイルスが流行しています。現在、アメリカやカナダではこの爆発的な増加が起こっています。

このH3N2型は、過去に色々な国で流行し、多数の死亡者を出したウイルスです。特に高齢者や子どもなど医学的弱者にとってリスクが高いとされており、注意が必要です。

同時流行に備えて

諸外国の動向を見る限り、日本でも今後インフルエンザの流行が拡大する可能性が高そうです。これから忘年会や年末年始の帰省が増えるので、注意が必要です。

そのため、すみやかに新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの接種を終えることをおすすめします。

また、感染に備えて、自身で検査できる抗原検査キットの活用をお願いします(図2)。

そして、一番大事なことは、普段からの基本的な感染対策を今一度しっかりと確認することです。

図2. 新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応
図2. 新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応

(参考)

(1) 岩手県感染症情報センター. 岩手県感染症週報.(URL:http://www2.pref.iwate.jp/~hp1353/kansen/pdf/2022/i2022-49.pdf

(2) 厚生労働省. 新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001006228.pdf

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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