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MLB公式サイト記者が大谷翔平のパドレスへの1対5トレードを進言する微笑ましい本音

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
誰もが大谷選手がポストシーズンに出場する姿を見たい?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLB公式サイトがトレード関連の特集記事を公開】

 MLBは7月の全日程を終了し、いよいよ2022年シーズンが佳境を迎えようとしている。

 熾烈なポストシーズン争いを繰り広げているチームにとっては、8月2日東部時間午後6時に設定されているトレード期限まで残り48時間を切っている状況で、彼らが最後にどんな補強策に乗り出すのか、注目されるところだ。

 そんな状況の中、MLB公式サイトがトレード関連の特集記事を公開している。タイトルは「5 big trades that won’t happen (but should)」というもので、これに邦題をつけるとするならば、「実現しそうにない(だが成立すべき)5つの大型トレード」となるだろう。

 MLB公式サイトの5人の記者たちが、今回のトレード期限内に実現しそうもないが、それぞれの記者が期待したいトレードについて、具体的な交換選手やその理由について解説しているものだ。

 念のため断っておくが、この記事に紹介されているトレードの前提にあるのは、「実現しそうにない」ということを忘れないで欲しい。

【大谷選手のパドレスへのトレードを進言するカセーヤ記者】

 今回執筆を担当している5人の記者のうち、ポール・カセーヤ記者は、今も騒ぎが収まらない大谷翔平選手のトレードについて取り上げ、彼としてはパドレスとの交換トレードを進言している。

 まずカセーヤ記者が考えているのは、エンジェルスとパドレスで1対5のトレードにすべきだという点だ。もちろん1選手の方は大谷選手だ。

 パドレスが大谷選手を獲得する代わりに、エンジェルスはルイス・カンプサノ捕手(MLBトップ100若手有望選手53位)、CJ・アブラムズ内野手、エストゥーリー・ルイーズ外野手(パドレスのトップ50若手有望選手28位)、マッケンジー・ゴア投手、ブレイク・スネル投手──の5人を得るというものだ。

 ちなみにカンプサノ捕手は現在パドレス傘下の3Aに在籍し、ここまで63試合に出場し、打率.300、8本塁打、36打点を残し、OPS(出塁率と長打力を合計したもの)も.826を記録している打撃力のある捕手だ。すでに3Aでこれだけの成績を残しているので、近い将来MLB初昇格が期待できる逸材だ。

 今シーズンのエンジェルスは、マックス・スタッシ捕手、カート・スズキ捕手ともに打撃不振に陥っており、打撃力のある捕手はかなり魅力的に見えるかもしれない。

 しかもMLB通算52勝のスネル投手、また今シーズンMLB初昇格し7月25日に負傷者リスト入りするまで主に先発投手を務めてきたゴア投手と、2人の即戦力左腕先発投手が含まれているので、エンジェルスが来シーズン以降の先発投手陣を構想する上でも楽になってくる。

【トレードを進言する記者の本当の理由とは?】

 カセーヤ記者は、パドレスがこのトレードによって、現在MLB27位の長打率、同25位の本塁打数でしかない打線を活性化できるだけでなく、現在もMLB屈指の先発投手陣をMLB最強にできると説明している。

 またエンジェルスとしても、前述したように複数の補強ポイントを穴埋めできるので収穫は大きいと考えているようだ。

 その一方で、このトレードが実現しそうにないと考えているのは、エンジェルスが大谷選手を放出しようとしているのか不透明な部分があるからだとしている。

 また大谷選手を放出するということは、チームのエース投手とMVPクラスの選手を同時に出すことを意味しているので、どんなトレードが妥当なのか難しい面があるとも指摘している。

 だがカセーヤ記者は「正直になろう」と前置きした上で、このトレードを進言する本当の理由を以下のように打ち明けている。

 「このトレードが実現すべきだと考える本当の理由は、10月から始まるポストシーズンの初戦で、オオタニが先発し、1番打者で打つ姿を誰もが見たいだろ?」

 確かにパドレスは現在ワイルドカード争いで出場圏内をずっと維持しており、パドレスにトレードされれば、大谷選手がポストシーズンに出場できる可能性はグンと高まってくる。

 つまりカセーヤ記者は、大谷選手の二刀流をMLBの檜舞台であるポストシーズンで見たいというのが本音だというわけだ。彼もまさに大谷選手ファンの1人なのかもしれない。

【実際はソト選手の獲得を画策しているパドレス】

 すでに本欄で指摘させてもらっているように、契約に関して大谷選手がシーズン中はエージェントに一任しているという状況下では、エンジェルスは大谷選手の意思や希望を確認できない状態にある。

 チームの将来を左右するような選手の去就を考える上で、正式な契約オファーすら本人に提示できず、本人の意思も確認できないままトレードに出すことをどう転んでも想像できないのだ。

 また現地報道を見る限り、実際のパドレスは大谷選手ではなく、ホアン・ソト選手の獲得に積極的に動いているとされており、やはりカセーヤ記者が進言するトレードが成立するとは思えない。

 ただ大谷選手ファンの多くが、カセーヤ記者のようにポストシーズンで活躍する大谷選手の姿を見たいと考えているのは間違いないだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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