しつこい投資マンションの勧誘電話を止める魔法の呪文
先日国土交通省から発表された建築着工統計調査報告のデータ(「伸び率さらに増加へ…2013年12月新設住宅戸数18.0%増(最新)」)にもある通り、住宅市場は確実に活性化の様相を呈している。消費税引き上げに伴う駆け込み需要とその反動もこなし、ちょっとした不動産活況が起きている。
それと共に増えているのが、投資用マンションへの勧誘営業。必要のない人にはリソースの無駄でしかない。投函チラシならばポストのスペースを減らす位であまり実害はないが、勧誘電話はタチの悪いものが多い。会社の営業の立場にある人なら電話に出ないわけにはいかず、自宅で受信をした上で番号をブロックしても、次々と発信番号を変えてくる。応対すれば時間の無駄となり、ストレスの原因や業務・勉学・家事の邪魔にすらなりうる。そのような、悪質な投資マンションなどの勧誘電話をぴたりと止める「魔法の呪文」があるという。
投資用マンションの販売をはじめとした不動産取引に関わる営業絡みでは、2011年10月1日から関連法令となる宅地建物取引業法が改正され、契約の勧誘の際に次のような行為を禁じるよう定められることとなった(太字の部分が改正の際に追加された)(国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等))。
(1)不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為(法第47条の2第1項)。
例:「将来絶対もうかります」
(2)威迫する行為(法第47条の2第2項)
例:「断るってのかい? 自分が可愛くないのか?」
(3)私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させる行為(法施行規則第16条の12第1号のヘ)
例:毎日、一時間毎に勧誘の営業電話をかけてくる。
(4)勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行う行為(法施行規則第16条の12第1号のハ)
例:「ちょっと面白い話があるんですよ。私ですか? 名乗るほどの者じゃないですけどね」
(5)相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為(法施行規則第16条の12第1号の二)
例:「お断りしますとか切ないこと言わないで、もうちょっとだけ話を聞いて下さいよ」
(6)迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問する行為(法施行規則第16条の12第1号のホ)
例:「今何時かって? 夜の11時ですが何か?」
特に注目したいのは(5)の、「聞き手側が拒否をしたら、それ以上勧誘は継続してはいけない」という部分。一度拒絶の意思表示さえすれば、後は「宅地建物取引業法施行規則16条の12第1号のニ」を電話、あるいは相手に向けて唱えれば良い(宅建法施行令~と略した方が覚えやすい)。これはつまり「これ以上勧誘を続けるのなら、あなたは宅建法施行規則に明確に抵触することになりますよ」という宣言になる。宅建業法に基づいて営業をしている者が、法を犯してまで勧誘を続けることのリスクを知らないはずは無いので、大抵はこれでカタがつく。
これでもなお勧誘を続けるのなら、相手は法令を知らない(社会問題化していることもあり、関連法令は業界内でも十分に周知されている)紛い者か、法令違反を承知の上で営業行為を行っていることになる。いずれにせよ、勧誘を断る意思がありその旨を表明し、この対応をしても勧誘が続くようなら、上にある国土交通省の専用ページに記載されている通り、具体的な状況や様子を記録した上で、免許行政庁(宅地建物取引業免許部局)に連絡を入れればOK。しかるべき対応がなされるはず。
投資用マンションに関しては、先日国民生活センターから「婚活サイトなどで知り合った相手から勧誘される投資用マンション販売に注意」といった注意喚起がなされている。悪質業者の手法も多様化、高度化しているようすがうかがえる。
勧誘電話を断ち切る「魔法の呪文」を唱えて効果が発揮したとしても、本人に対する勧誘の類のすべてが終わるとは限らない。別の業者が同じように勧誘営業電話をかけてくるかもしれないし、さらに別の悪質な切り口でアプローチが行われる可能性は十分にある。投資意図がないのであれば、くれぐれも注意を心掛けてほしい。
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