大谷翔平の防御率は、100イニング以上のア・リーグ42投手中3位。サイ・ヤング賞の可能性は…
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今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、18試合に登板し、計100.0イニングを投げている。8月19日を終え、ア・リーグで100イニング以上の投手は42人。そのなかで、大谷の防御率2.79は3位に位置する。シカゴ・ホワイトソックスの2人、ランス・リンの防御率2.26とカルロス・ロドーンの防御率2.38に次いで低い。奪三振率10.80は6位、与四球率3.51は36位(ワースト7位)、K/BB3.08は28位だ。
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6月末の時点で、大谷の防御率は3.60だった。一方、7月以降の6登板は計40.0イニングで自責点7、防御率1.58だ。6月までの12登板の防御率は、6月30日の0.2イニングで自責点7が押し上げているので、これを除くと2.58となる。それでも、直近6登板の防御率はさらに低い。
最初の11登板と直近の6登板を比べると、奪三振率は12.44と8.33、与四球率は4.70と0.90だ。三振を奪うよりも打たせてアウトにすることで投球数を抑え、長く投げようとしていることが窺える。それについては、1ヵ月前に「70イニング以上の110人中、大谷翔平の奪三振率はトップ10、与四球率はワースト10にランクイン」で考察したとおりだ。K/BBは、最初の11登板が2.65、直近の6登板は9.25。劇的に向上している。
今シーズン、大谷がマウンドに上がるのは、多くてあと6試合だ。エンジェルスの他の先発投手たちの登板間隔を無視して、中5日で登板し続けた場合は7試合になるが、ポストシーズンへ進めそうもない状況で、ジョー・マッドン監督がそうするとは考えにくい。となると、9.0イニングずつ投げても計54.0イニング。シーズン全体では154.0イニングだ。規定投球回の162.0イニングには届かない。これは多めに見積もった数値なので、実際には140.0イニング前後と予想する。
大谷のMVPはまず間違いないが、サイ・ヤング賞には他の投手が選ばれるだろう。これまでの受賞者のうち、リリーフ投手と短縮シーズンに選出された投手を除くと、180.0イニングに届かなかったのは、1984年にシカゴ・カブスで150.1イニングのリック・サトクリフだけだ。もっとも、この年のサトクリフは、6月半ばにナ・リーグのカブスへ移るまでに、ア・リーグのクリーブランド・インディアンズで94.1イニングを投げた。次いで少ないのは、タンパベイ・レイズ時代の2018年に受賞した、ブレイク・スネル(現サンディエゴ・パドレス)の180.2イニングだ。
防御率をはじめとするスタッツで、大谷が他の投手たちに圧倒的な差をつければ、イニングが少なくても、受賞できるかもしれない。だが、今のところはそうではなく、すでにシーズン終盤であることを踏まえると、ここからそうなる可能性も低い。