「HSPは、人の気持ちが読めてしまうから苦しい…」ってホント? という質問にお答えいたします。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日のテーマは、「HSPは、人の気持ちが読めてしまうから苦しい」です。
HSPという言葉をよく見聞きするようになりました。← 私的には、「かなりブームは去った」と思っているのですが、気のせいでしょうか?
でもやはり、「今や、HSPが大流行り」と言っても過言ではないと思います。
右を見てもHSP、左を見てもHSP。「僕も私も、みんなHSP」という世界になりつつあるなあ…思う今日この頃の私です。
HSPとは、ハイリー、センシティブ、パーソンの略で、敏感な人という意味です。症状が軽い人、重い人、いろいろいるのですが、人口の約20%がHSPと言われています。
たった今、私は、HSPには、軽い人、重い人がいると言いました。そう、世の中には、HSPの人とHSPじゃない人がいるわけじゃぁないのです。誰もが少しはHSP、敏感であって、その中に非常に重い人から非常に軽い人がいて、ほとんどの人は、白でも黒でもなく、グレーなのです。
HSPは、グラデーション(段階的に濃くなっていく)だと覚えておいてください。要するに、「世の中には、限りなくHSPと呼べる人から、限りなくHSPとは呼べない人まで、いろんな人がいますよ」ということなのです。
よって、「私はHSPであり、あなたはHSPなんかじゃない」というものではないのです。HSPとは、「私は、どちらかと言うと、HSP傾向が強く、あなたはどちらかと言うと、HSP傾向が弱いですね」というものなのです。
人には誰でも、敏感な部分と鈍感な部分があります。
HSPと呼ばれる人は、敏感な部分が強くて大きい人…という意味なのです。
さて、私のカウンセリングルームにも、自称HSPの人が数多く現れるのですが、彼らから、「僕は、HSPですから、ノーと言うのが苦手です」とか、「私は、HSPですから、つい人との約束をすっぽかしてしまいます」なんて言葉を聞くと、正直、私は、「己のどこがHSPやねん」と思ってしまいます。
そんな中、最近は、「HSPは、人の気持ちが読めてしまうから苦しい」等とおっしゃる人が現れ始め、私は混乱するばかりです。また、今言ったセリフ「HSPは、人の気持ちが読めてしまうから苦しい」というセリフを、HSP専門カウンセラーと名乗る人が言っているわけですから、ホント私は、頭を抱えたくなります。
カウンセラーというのは、「人の心など読めない、人の心などわからない」ということを誰よりもよく知っている、わかっている人であり、だからこそクライアントの話に、熱心に耳を傾けるのであって、「人の心がわかる」とか「人の心が読める」等という思い上がった気持ちを持っていたら、それこそ人の話など、熱心に聴けなくなってしまうかと思います。
私は、「人の心が読める、人の気持ちがわかる」と等というセリフを吐く自称カウンセラーを見る度に、この人、カウンセリングの勉強を、ほんの少しでもしたことがあるのかなあ…と思ってしまいます。
「人の気持ちなどわからない、人の心など読めやしない」ということは、カウンセリングのいろはであり、カウンセリングの勉強の初期段階で徹底的に教えられることなので、よけいに私は、そう思う次第です。
私は、カウンセリングの勉強をし始めて40年近くが経ち、プロのカウンセラーになってから26年以上が経っているわけですが、「クライアントの気持ちが読める」などと思ったことは1度もないです。
ただ私は、長い間、カウンセリングをしているので、クライアントが涙を流せば、このクライアントの涙は、こういう意味かなあ…と、ある程度の仮説は、立てることが出来ます。けれど、その仮説にとらわれることなく、さらにクライアントの話に熱心に耳を傾けようとするところがカウンセラーのカウンセラーたる所以です。
私のカウンセリングルームには、自称HSPの方が大勢集まるのですが、私自身、「この人、HSPじゃないな」と思ったり、「この人は、HSPだな」と思ったりすることがあるのですが、所詮それも私の推測に過ぎず、さらにHSPは、ただの傾向であるので、私がクライアントに対し、「あなたはHSPです」「あなたはHSPじゃないです」等と、診断・判定するようなものではありません。
私が思う、本当にHSP傾向の強い人は、自分がHSPだなんてことは、人前で大声で言ったりしないことが、ほとんどです。何故なら、そんなことを言うと、周りに気を遣わせてしまう結果になることを、本人が1番よく知っているからです。
HSP傾向の強い人は、人が、怒られているのを見ると、その刺激を受けて、自分も怒られている気分になったり、人が泣いているのを見ると、その刺激を受けて、自分も悲しい気持ちになったりすることがありますが、それを指して、「私は、人の気持ちが読める。だから私は、苦しいんだ」等と言うのは間違いです。
本当に人の気持ちが読めるのであれば、カウンセリングの予約を、自己都合で勝手にドタキャンしないで欲しいなあ…と思います。「だって、あなた、人の気持ちが読めるんでしょ。だったら、ドタキャンされたら、カウンセラーが困るということがわかるのではないですか?」と私は、自称HSPの人に言いたいです。
あと、そうですね。本当に人の気持ちが読めるのであれば、HSPという不都合さや不便さや生きづらさを抱えながら生きるのではなく、その特技を生かして、スピリチュアルカウンセラーにでもなったら如何でしょうか? そのほうが、その特質を仕事にしていったほうが、よっぽど精神的に自由になり、経済的に豊かになるかと思うのですが、どうでしょう?
あとこれは、大切な余談ですが、HSP専門カウンセラーは、どんな人に対しても「あなたは、HSPです」と言うことが多いです。何故かと言うと、そう言っておけば、言われた目の前の人を、自分のいいお客さんにすることが出来、自分の懐(ふところ)が温かくなるからです。
だから、自分で自分のことを「私は、HSPかなあ」って思う人は、HSP専門カウンセラーの所に行く際は、よくよく選んで、吟味して、彼ら彼女らに騙されないよう、HSP専門カウンセラーのルームを訪ねて行って欲しいと思います。
でも、私としては、HSP専門のカウンセラーではなく、HSPのことに詳しい普通のカウンセラーの元を訪ねることをおススメしたいと思います。
最後に、人の心を読むことを、心理学用語で読心術と言います。読心術は、私たちを幸せにはしてれくれません。よって読心術を使う人は、その術を、厳に慎まれることを私はおススメしたいと思います。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。