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ホリフィールドよ、何処へ行く?

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:REX/アフロ)

 昨年9月11日に58歳にしてリングに上がり、44歳の元UFCファイター、ヴィトー・ベウフォートに1ラウンドKOで敗れたイベンダー・ホリフィールド。

 フロリダ州ボクシングコミッションのエグゼクティブ・ディレクター、パトリック・カニングハムが、「エキシビションではなく、プロボクシングの公式戦とする」としたものの、非常に危険な内容でのKO負けだったため、同コミッションから試合後30日間のサスペンションを喰らった。

 ホリフィールドは試合を止めたレフェリーに対して、抗議声明を出したが、とてもリングに上がれる状態ではなかった。エキシビションとして成立させれば良かったーーーとも感じるが、一度グローブをはめてリングに上がったホリフィールドなら、マスボクシングでは満足しない。彼は本気の打ち合いを選択するだろう。

写真:Shutterstock/アフロ

 そのホリフィールドが、今尚ボクシングジムでトレーニングを続け、59歳ながら体型を維持している。

 昨年の一戦は、元々ヴィトー・ベウフォートとオスカー・デラホーヤの間で行われる予定だったが、デラホーヤの新型コロナウイルス感染によって中止となり、興行を成立させたいプロモート会社がホリフィールドを代役に立てたことで実現した。

 デラホーヤはあれ以来、プロモーター業に集中し、自身のリング復帰になどまるで触れない。

 フロイド・メイウェザー・ジュニアは依然としてエキシビションでカネを稼いでいるが、あれだけ一方的に痛めつけられながら、まだリングに上がろうとするホリフィールド……彼が求めるものは何なのか。

 確かに、この闘志こそが彼を統一ヘビー級王者にしたことは間違いない。しかし、ベウフォート戦で致命的なケガをせずに済んだことを幸運と思ってほしい。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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