温泉からあがる際は「体を洗い流さない」のが正解! その意外な理由とは?
みなさんは、温泉に入浴したあと、どうしているだろうか。
浴室で観察していると、シャワーなどで体を洗い流してから脱衣所へ向かう、つまり「あがり湯」をする人は多い。
湯船は不特定多数の人が利用するので、衛生面の理由からあがり湯をする人が多いと推測できる。「洗い流さないとなんとなく気持ちが悪い」という意見も聞いたことがある。
しかし、温泉の場合、必ずしもあがり湯をする必要はない。むしろ体を洗い流さないほうがよいケースが多い。
なぜなら、肌に付着した温泉成分が体に吸収されるからだ。もちろん、温泉に入浴している最中も温泉の薬理成分は皮膚から吸収されるが、入浴後も数時間程度は肌に付着した温泉成分が体に吸収される。
したがって、美肌効果など温泉のメリットをしっかり得たいなら、温泉からあがる際に、体を洗い流さないのが正解といえる。
洗い流したほうがよいケースもある
ただし、例外もある。
ひとつは、刺激が強い温泉のケースだ。
刺激が強い温泉の代表格は、泉質でいえば、酸性泉と硫黄泉(硫化水素型)である。
たとえば、草津温泉は強酸性の湯として知られ、温泉の中に釘を入れておくと、溶けてしまうほど強烈である。
一方、硫黄泉(硫化水素型)は、ゆで卵のような温泉特有の匂いを放つ源泉である。いわゆる硫黄の香りが強い源泉は要注意。皮膚への浸透効果が高く、湯あたりしやすいともいわれる。
これらの温泉に入る場合は、あがり湯やシャワーで温泉成分を洗い流したほうがいい。特に肌が弱い人は、ただれたりしないよう洗い流すことをおすすめする。
もうひとつ、体を洗い流したほうがよいのは、温泉が「源泉かけ流し」でない場合だ。
「体を洗い流したほうがいい」のは、基本的に源泉かけ流しの温泉に限った話である。
源泉かけ流しではない、つまり循環ろ過して源泉を使い回している湯船では、殺菌のため塩素などの薬剤を使用している。
塩素系薬剤はレジオネラ菌などの有害な菌の繁殖を防ぐ効果をもつが、一方で人の肌にはマイナスの影響を及ぼす可能性をもつ物質である。肌が弱い人の中には、かゆみを感じるなど肌の不調を訴える人もいるようだ。特に塩素の臭いが強い温泉施設では、洗い流したほうがいいだろう。
そもそも循環ろ過され、塩素が投入されている湯では、使い回すうちにもともとの温泉成分が損なわれ、肌から得られる温泉効果も小さくなってしまう。そういう意味では、肌から温泉効果を十分に得たいのであれば、「源泉かけ流し」の温泉施設を選ぶべきである。
いずれにしても、温泉に入るとき「この温泉は洗い流さないほうがいいか」、それとも「洗い流したほうがいいか」を判断できるようになると、有意義な入浴となるはずだ。