まさかの一撃で試合終了 無敗のクロフォードがカーンに圧勝
ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、WBO世界ウェルター級タイトルマッチが行われた。
チャンピオンのテレンス・クロフォード(31)と元世界スーパーライト級統一チャンピオンのアミール・カーン(32)が対戦した。
クロフォードは、全階級で最も強い選手の象徴、パウンドフォーパウンド(PFP)の上位にランクされる。
五輪メダリストで元統一王者のカーンと、どのような試合をするか注目が集まった。
1ラウンド目に衝撃のダウン
1R前半、スピードがあるカーンに対し、クロフォードはジャブをつきながら慎重に戦う。
互いに警戒し、緊張感がある攻防が続いた。
しかし、1R後半、カーンのジャブに対し、クロフォードの右のクロスが、カーンの顎に直撃し、ダウン。
スピードがあるカーンに対し、カウンターを合わせる技術の高さに驚いた。カーンのジャブのタイミングを計っていたのだろう。
打ち込むストレートというよりは、一瞬の隙をついて右のカウンターを合わせていた。
変幻自在のクロフォード
序盤の勢いのまま、クロフォードがペースを握った。
クロフォードも余裕が出てきたのか、変幻自在に左右にスイッチして、カーンにパンチを浴びせ、痛めつけていく。
驚いたのは、サウスポースタイルを完全に使いこなしていた事だ。
ボクサーの中でも右構えから左構えとスイッチをする選手はいるが、ほとんどは相手を撹乱するだけで、使いこなせる選手は少ない。
クロフォードは、完全に左右を使いこなし、それによってペースを握っていった。
カーンのようにジャブを基点とする場合は、サウスポーとの相性が悪い。前の手同士がぶつかり合い、パンチが当たらないのだ。
得意のジャブが出せず、どんどんカーンは追い詰められていった。
まさかのローブローで試合棄権
その後も、クロフォードがポディにパンチを織り交ぜ、ペースを握っていった。
第6R、クロフォードのローブローが、カーンの下腹部にヒットしうずくまってしまった。
反則により試合は一時中断されたが、休憩後にカーン陣営が棄権を宣言した。
それにより、ギブアップによるTKO勝ちを収め、クロフォードがタイトルの防衛に成功した。
試合もこれからという時だったので、非常に残念な結末となった。
会場からも、多くのブーイングの声が聞かれた。
5回までの採点は、1者が50-44、2者が49-45でクロフォードがポイント場でも優位に試合を進めていた。
トップファイターのカーン相手に、クロフォードが圧勝した。6連続KO勝ちでV2防衛を果たし、無敗レコードを伸ばした。
ライバルとの対戦に期待が高まる
ウェルター級は、アメリカ勢がタイトルをほぼ独占している。
WBC王者に、ショーン・ポーター、
IBF王者はエロール・スペンス・ジュニア、
WBAのスーパー王者にキース・サーマンがいる。
WBAのレギュラー王者には、マニーパッキャオも健在だ。
誰と試合をしても、ビックマッチとなるが、試合後のインタビューでは、エロール・スペンス・ジュニアの名前が上がった。
スペンスはメイウェザーの後継者と呼ばれ、非常に評価が高く、PFPでも上位にランクされる。
プロモーターが違うため、試合実現はなかなか難しいが、期待が高まる。
PFP2位にランクされ、ボクシング界最強の一人に数えられる、クロフォードの今後に注目だ。