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来季もスピアーズで。バーナード・フォーリー優勝直後に断言。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 今季のリーグワンで初の日本一に輝いたクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、5月22日、公式ツイッターなどで大物選手との契約延長について伝えた。

 2019年からこのチームにいる南アフリカ代表のマルコム・マークスとオーストラリア代表のバーナード・フォーリーが、それぞれ契約を2年、延長したという。

「スピアーズとは2年契約を結びました。いまはワラビーズ(オーストラリア代表=後述)のスコッドに入るのを狙いますが、そうでなければ来季のプレシーズンマッチを頑張り2連覇を目指します」

 フォーリー本人がこう話したのは5月20日。東京・国立競技場でのプレーオフ決勝で、昨季王者の埼玉パナソニックワイルドナイツを17―15で制した直後のことだ。

 オーストラリア代表として過去に2度のワールドカップに出場したフォーリーは、スタンドオフとして先発。高低を織り交ぜたキックを放ち、味方のチェイスと相まって相手のミスを誘っていた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——優勝して。

「自分たちのメンバーを誇りに思う。努力をどれだけしてきたか。試合に出ていた選手だけではなく、関係者、かつていた選手、私がスピアーズに入ってからのチーム全体のハードワークが実ったと言えます」

——旧トップリーグ時代から国内2連覇中のワイルドナイツを相手に、試合中盤に勝ち越されるも逆転しました。

「ワイルドナイツはいいチーム。過去3~4年を通し、ハーフタイム以降に様々なことがあるのを経験している。そのなかでファイトし続けられたのはスピアーズの成長点。対応ができていない過去の状態であれば、勝ち越された時点で最後に突き放されたと思います。

 今季は色んな勝ち方をしてきた。エキサイティングないいトライを取る試合もあれば、勝ち切るラグビーもしてきた。きょうはファイナルラグビーの戦い方。正しいエリアで正しいプレッシャーをかけることがきょうの結果に繋がった」

——ハイボール処理のうまい相手フルバック、野口竜司選手へプレッシャーをかけられました。

「それが、『正しいエリアで正しいプレッシャーをかける』に繋がる。1本だけではなく、それをやり続ける。やり続ければ、相手が相手のプランを疑い始める。

 学びも活かしました。先週の東京サントリーサンゴリアスとの準決勝では、(相手へのレッドカード発出で)人数が多くなったことで(攻められると判断してしまい)テリトリーゲームができなかった(24―18で辛勝)。キックでプレッシャーをかける、チームでファイトし続ける。(準決勝では)その点が足りなかったですが、きょうはそれができた」

——決定的なトライを演出した立川理道主将について。

「ラン、パス、キックパスができ、ハードワークもできる。リーダーとしてチームをひとつにできる」

——南アフリカ出身で2016年就任のフラン・ルディケヘッドコーチは。

「ラグビーやチームへの情熱があり、南アフリカ風の考え方——セットピース中心で大きなフォワードがいて、キッキングゲームを絡める——がある。ここに立川選手たちとの日本のスタイル、ライアン・クロッティ(元ニュージーランド代表センターで今季まで在籍)が唱えるニュージーランドの戦い方などのいいところを凝縮したのが、いまのスピアーズのラグビーです。

 (攻撃を教える)田邉淳アシスタントコーチは、多くを導入してくれた。また彼(田邉)は成長し続ける。シーズンを通し、スピアーズのアタックはベストでした」

——楽しむ意欲。

「自分以外にもいい選手がいる。クロッティは『やっていることをエンジョイしていこう』と話していました。ただのチームの一員としてではなく、ハードワークしながら笑顔を見せるよう努めています」

——スピアーズのよさは。

「チーム文化、人との繋がりを感じます。選手、コーチ、スタッフがエンジョイしています。オフフィールドでも時間を過ごしていることが、チームの成長に繋がっています」

 いわばこのクラブの価値、このクラブと自身との繋がりによさを感じ、今度の契約延長を決めたのだろう。22日のリーグ表彰でベストフィフティーンと得点王を受賞。ここから先はしばしの休息を経て、オーストラリア代表としての活動を見据えるだろう。

——今秋はワールドカップフランス大会があります。フォーリー選手はワラビーズことオーストラリア代表としてのプレーが期待されます。

「選手であれば誰もが出たい。シーズン序盤に(代表側へは)『できるだけワラビーズへ貢献したい』と伝えています。きょうの試合でも成長したこと、対応できることを見せられた。そのことによって、ワラビーズでの争いにおいていい位置につけているといいのですが」

——日本でラグビーをプレーすることは国際舞台に活かせますか。

「リーグワンでやることはワールドカップに繋がる。コーチ陣のプログラム、全体の質が上がっている。ラグビーも、リーグワンのほうがテストマッチよりも速いくらい。きょうもテストマッチみたいだった。一瞬でも乗られると相手に潰される。そういう雰囲気でした」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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