インテルMFが「今後10年を支配」? 大物OBらがバレッラを絶賛 「オレに似てる!」
10月24日のセリエA第5節でジェノアに2-0と勝利したインテルのアントニオ・コンテ監督は、試合後にクリスティアン・エリクセンのパフォーマンスや起用法が騒がれることに不快感を表した。
1月の加入以降、エリクセンは期待されたほどのインパクトを残せていない。ロックダウン後にコンテがシステムを3-5-2から3-4-1-2に変えたのも、エリクセンにトップ下という本来の居場所を用意するためだったと考えられるが、それに見合っただけのパフォーマンスとは言い難い。
それでも、ミッドウィークのチャンピオンズリーグ開幕戦では、まずまずと評されていた。それだけに、短期間で上下するメディアの評価と騒ぎぶりに、指揮官はうんざりしているのだろう。期待が大きかっただけに、エリクセンが標的となるのもやむを得ないのだが――。
◆必要不可欠な存在
コンテのクレームに得心したわけではないだろうが、試合翌日と翌々日の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』で“エリクセン問題”が特別に騒がれることはなかった。彼らが取り上げたのは、再びチームを勝利に導いたロメル・ルカクの活躍と、対照的に低調なパフォーマンスで交代後に怒りをベンチの椅子にぶつけたラウタロ・マルティネス、そして途中出場で流れを変えたニコロ・バレッラだ。
58分にエリクセンと交代したバレッラは、わずか6分後に巧みなスルーパスでルカクの先制点を演出した。勝利の立役者のひとりとして、多くのメディアが称賛している。
ダイナミックさとクオリティーを併せ持ち、ピッチ全体にわたって攻守両面でチームを支えるバレッラの株は右肩上がりだ。闘志をむき出しにするパーソナリティーも、ファンから好評を博している。特に直近ではトップ下としてのパフォーマンスが高く評価されているところだ。
カリアリから加入した昨季の開幕当初は、適応時間を必要とし、同期加入のステーファノ・センシにスポットライトを奪われた。だが、小柄なテクニシャンがフィジカルの問題で苦しみ続けている一方で、バレッラは存在感を増していき、今ではコンテ・インテルに必要不可欠なひとりとなっている。
今季は開幕から公式戦6試合すべてに出場し、プレー時間はフィールドプレーヤーでルカクに続く2位の414分。コンテが絶大な信頼を置いているのは明白だ。
◆クラブと代表のレジェンドたちが称賛
26日付の『ガゼッタ』紙では、バレッラを称賛した先輩たちのこれまでの発言が紹介されている。コンテを筆頭にサルヴァトーレ・バーニ、ニコラ・ベルティ、クラウディオ・マルキージオ、マルコ・タルデッリと、インテルやイタリア代表のOBたちと、現在同僚のラジャ・ナインゴランだ。いずれも、バレッラのプレーに自分を思い出すという。
自らもペナルティーエリアまで進んでシュートを打つのが好きだったというコンテは、「私よりうまい」と称賛。バンニも「ガッツがあり、何も恐れない。賢く、ダイナミックで、戦術面でも知的」とたたえた。
タルデッリは「スペースを突き、縦にいって、ボールを奪い、飛び出す力」が自分に似ていると賛辞を寄せた。マルキージオも「ピッチ全体でプレーする。ボール奪取のために守備から始め、飛び出していく」と、攻守両面での貢献を評価する。
ナインゴランは「タフで、走り、ファイトする。6年前の自分みたいだ。ほかの10人をうまく回すのにとても重要」と、チームの中心になる選手だと評した。ベルティは「ニコロは新たなベルティだ。私より背は低いが、とてつもないエネルギーと力を持つ。今後10年支配できる」と絶賛している。
◆経験を積み、次なるステージへ
約1年前、チャンピオンズリーグ(CL)でボルシア・ドルトムントに逆転負けした際、コンテは試合後のインタビューで層の薄さに対する不満をあらわにした。そのとき、経験値から過度に期待してはいけない選手として、センシとバレッラの名前を例に出している。
だが、バレッラは昨季でCLに加え、ヨーロッパリーグでファイナルも経験した。ロベルト・マンチーニ監督が率いるイタリア代表でも地位を確かにしている。9月と10月のネーションズリーグでは、オランダ相手に2試合で1得点1アシストを記録した。
小さなころからインテリスタだったバレッラは、先日のUEFAのインタビューでも、アイドルだったのはデヤン・スタンコビッチと繰り返した。中盤で複数の役割をこなせるユーティリティー性や、攻守両面での献身性、そして気骨という点でも、また別のバレッラに似ている先輩だ。
2010年にインテルで3冠を達成したスタンコビッチをはじめ、(ナインゴランを除く)前述のレジェンドたちは、いずれも数々のトロフィーを手にした。バレッラは、その仲間入りを果たせるだろうか。