宇宙から見た台風、ISSから覗く「台風の目」(2018年)過去にはロケット組立棟外壁が破損する被害
超巨大台風が時間をかけて日本列島に上陸し、各地で大雨が降り始めています。本記事では宇宙から見た台風がどのように見えるのか、そして過去に発生した種子島宇宙センターの被害について解説していきます。
■国際宇宙ステーション(ISS)から台風を見たらこんな風に見える
皆さんは台風を上空から見たことはありますか?2018年、台風24号が日本に接近していた頃、ESAの宇宙飛行士アレクサンダーさんがISSから台風を撮影しました。「誰かが地球の巨大な栓を抜いたようだ」とコメントしており、その猛烈な嵐の力強さを物語っています。
上記画像は、ISSの観測小型ユニット「キューポラ」から撮影された画像です。キューポラとは、地球を見下ろせる7枚の窓が備えられた空間であり、宇宙飛行士の休憩スポットとなっています。
ISSについても簡単に解説しておきます。ISSは、地上から約400キロ上空に建設された巨大な有人の実験施設。1998年に宇宙での建設が始まり、米国・日本・欧州各国など世界15か国の国際協力によって運用されています。主な役割は、宇宙だけの特殊な環境を利用したさまざまな実験や研究を長期間行える場所を確保すること。2000年11月から3人の宇宙飛行士が滞在を開始し、現在6人体制で運用を実施。チームは約6か月ごとに交代し、宇宙環境での科学実験やISSの保守作業などに取り組んでいます。
■過去には種子島のロケット組み立て棟が破損する事故も発生
2022年には、台風14号がJAXAの種子島宇宙センターを襲うという事故もありました。ロケットを組み立てるための「整備組立棟」の外壁の一部が、地上付近から高さ数十メートルにわたって剥がれる被害となりました。
整備組み立て棟の中には、当時開発中であった国産主力ロケット「H3」1号機や、小型月着陸実証機 スリム、 X線分光撮像衛星XRISMを打ち上げたH2Aロケット47号機などが格納されていました。
この整備組み立て棟は、地上15階建て、高さ81mの鉄骨構造となっています。1990年に建設され、1999年にはH-IIAロケット2機を同時に点検・整備できるようにするため、高層棟が増築されました。この整備組み立て棟では、工場から輸送したロケット各段を最初に搬入し、輸送コンテナから取り出したロケット各段を大型移動発射台の上で組み立てます。次にロケット先端に衛星などのペイロードとフェアリングを取り付けます。そして打ち上げ当日、組み立て棟正面の大きな扉が開き、ロケットは大型移動発射台ごと射点にゆっくりと移動させる方式となっています。その後、発射台に到着したロケットは、液体燃料を注入。点検を行い、打ち上げの準備が完了します。
今回の台風で大きな破損が発生しないことを願っています。
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