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「2人連れ専用温泉旅館」にみる、中小企業のターゲット戦略

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

ビジネスにおいて、ターゲットを絞ることの重要性を語られてひさしいし、多くの経営者もその言葉は理解しているけれど、だけれどなかなか絞り込むには勇気がいる…とかんがえるひとも多いのでは。

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そんな中で、1月20日の日経新聞に掲載されていた記事「2人連れ専用の温泉宿 客を絞り斜陽の旅館を再生」はとっても興味深い。

1泊2食8000円だった温泉宿を2005年に改装。料金は1人2万円台になり、稼働率も大幅に向上した。キーワードは「おふたりさま限定の宿」。ニーズはあるのか。いかがわしく思われないか……。親族の心配や反対をよそに、女将(おかみ)は自らの思いを貫く。今では遠方からもリピーターが訪れる宿になった。

出典:日本経済新聞

この宿は、山形県米沢市にある「時の宿すみれ」だという。実際に、ターゲットを絞り込むことで、コストも削減され、一方で顧客の満足度が大きく向上しているっていう話。

2人連れのみで年齢も中学生以上に限定した結果、提供すべきサービスが絞られ、質も向上したという。子供向けの料理や接客の用意が不要になった。団体客が入ると決まればアルバイトを確保して、といった準備も要らない。

ある一定の客層に向け、特化して腕を磨く。顔や名前も覚えることができ、愛着を持って繰り返し訪れてくれる人も増えた。今は利用者の4割がリピーターだ。

出典:日本経済新聞

って、これすごいですよね。2人連れっていってまず最初に思いつくのは、夫婦や恋人。それに加えて、友人、親子といった2人組を想定しているようです。たしかに、2人組と絞り込むことで、来客者のシチュエーションやニーズもグッと絞り込めますね。

実際、ロビーのソファーも少し間隔を離して1人用のソファをセットにしておいているそう。

ターゲットを絞り込む、ということは

・顧客のニーズに的確に応えていける

・「あ、ぼくのためのものだ!」と思って選んでもらいやすい

・対象者に絞り込んだPR展開が可能

・それ以外のニーズに応えるための準備が不要になる

ということ。そして絞り込んでいくためには

・自社の魅力や強みがどこにあるのかを見出す

・トレンドの中で、誰にどんなニーズがあるかを掴みとる

・上記の掛け算の中で、戦略を決めていく

という事になりますよね。

新聞中には触れられていませんが、では一人で考えたのでしょうか。

きっと相談する存在が、重要。友人の経営者や、課題の指摘でなく上記のようなポジティブコミュニケーションが出来る産業支援機関・コンサルタントに相談することの重要性を感じます。

静岡県東部であれば、富士市のf-Biz

東京都であれば、豊島区ビジネスサポートセンター

愛知県であれば、岡崎のOKa-Biz

・・・といった施設の活用が重要だと気付かされます。

また、公的産業支援施設が制度融資や記帳指導といった事務的なサポートや、問題課題の指摘型指導でなく、強みを見いだし売上げアップを応援していく、そんな体制への転換が求められているでしょう。

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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