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「ヤクルトが一番積極的だった」燕の新外国人ジェフン入団会見全文

菊田康彦フリーランスライター

東京ヤクルトスワローズが、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでプレーしていたハ・ジェフン(25歳)と契約。5月30日に都内の球団事務所で入団会見を行った。今シーズンいっぱいの契約で、期間内に支払われる年俸は900万円(推定)。登録名は「ジェフン」になると発表された。なお、背番号は「00」。

30日にヤクルト入団会見を行ったジェフン(右は小川SD)
30日にヤクルト入団会見を行ったジェフン(右は小川SD)

韓国出身のジェフンは2008年9月に外野手としてシカゴ・カブスと契約し、昨年まで傘下のマイナーリーグでプレー。2012年には、マイナーの有望選手を集めてオールスターの前哨戦として開催される「フューチャーズ・ゲーム」にワールド・フューチャーズの一員として出場し、ゲリット・コール(パイレーツ)から本塁打を放つなど2安打、2打点をたたき出した。

しかし、メジャー昇格の機会はなく、昨年はマイナーA級で投手として16試合の登板で3勝0敗、防御率2.33の成績を残したのを最後に、カブスを退団。今シーズンは5月29日の時点で、四国アイランドリーグplusでデニング(愛媛、前ヤクルト)に次ぐリーグ2位の打率.364、同1位の6本塁打の成績を残し、投手としても1試合に投げて1回を無失点に抑えていた。

30日の会見では冒頭、小川淳司シニアディレクターが「バレンティン選手の(故障など不測の事態に備えた)危機管理ということが1つ。そして一番大きな理由として、非常に能力が高く、将来性を買って」と獲得に至った経緯を説明。その後はジェフンによる挨拶、そして一問一答が行われた。全文は以下のとおり。

ピッチャーとしての起用も「ゼロではない」

(ジェフン、以下J)まず、最初にこのような機会をいただいた前所属の徳島インディゴソックスの方々に、心から感謝を申し上げたいと思います。また、僕のプレーしている姿を見て高く評価していただいて、このたび入団することになったヤクルトスワローズの方々にも、心から感謝を申し上げます。最大限、早く活躍したいという抱負を持っています。

──今の率直な気持ちは?

(J)とりあえず野球を続けられること、このような素晴らしい環境の中で野球ができるということに対して、とても喜びを感じています。

──小川SDに。ジェフン選手のストロングポイントは?

(小川、以下O)まず走攻守、すべてにおいてレベルが高い選手であるという評価をしています。特にその中でも守備、肩に関しては非常にレベルが高く、NPBに入ってもそん色ないというよりは、さらに1つ上のレベルと言ってもいいぐらいの能力は持ってるんじゃないかと思ってます。

──ピッチャーとしての起用は?

(O)一応、外野手として登録して、外野手として出場というふうにはなっています。ピッチャーをやってたということもあってゼロではないと思いますけど、これはわれわれが決めることではないので、現場のほうでどういうふうに考えるか。

ただ、ピッチャーとして見るんじゃなくて、まず外野手というところで彼を見てあげてほしいなと思います。

──まずは二軍戦に出場?

(O)スケジュール的に言えば、今日(一軍の遠征先の)札幌に行きます。一応、練習参加ということで、今日の夜の便で札幌に向かいますので、ファームのゲームっていうのはまた後ですね。

──明日(5月31日)から出場の可能性も?

(O)ゼロではないと思いますけど。一応、練習参加ということで札幌のほうに向かう予定です。

「自分の成績よりも、チームの勝利を一番に」

──ジェフン選手に。複数の球団からオファーがあったという中で、ヤクルトに決めた理由は?

(J)ヤクルト球団が一番積極的にオファーをしてくれたということが、大きかったと思います。

──ヤクルトというチームの印象は?

(J)アメリカにいる時から日本の野球はちょくちょく見ていたんですけど、その中でヤクルトというチームは東京にあって強いチーム、去年優勝しているチームということで、そういったいい選手たちと、今年も良い成績を出せるように。もっと上に行けるように、努力していきたいです。

──自身の考えるストロングポイントは?

(J)ストロングポイントというか、ここに自信があるというよりはいろいろな面で自信を持っているので、これ1つというのは特に思いつかないですけど、さまざまな面で活躍できるという自信は持っています。

──小川SDは「走攻守すべて揃っている」と。あらゆる面で自信がある?

(J)はい、自信があります。

──アメリカでも日本でもピッチャーを経験。

(J)ピッチャーをやったということも、バッターとしてもっと成長するためのいいきっかけになったのではないかと考えています。

──ピッチャーとしての最速は?

(J)アメリカ時代は最速95マイル(約153キロ)まで出ました。

──自信のある変化球は?

(J)カットボールです。

──明日から一軍で出場する可能性も。対戦してみたい選手は?

(J)特にこういうピッチャーと対戦したいというのは思いつかないですけど、毎試合、毎打席、出てくるピッチャーからヒットを打って出塁するということを、徹底的に心がけていきたいと思っています。

──カブス傘下のマイナーで藤川球児投手(現阪神)と一緒。何かアドバイスなどされたことは?

(J)そこまで深い話をしたっていう経験はないですが、藤川選手が打撃投手で投げて、それを打つということはありました。

──最後に意気込みを。

(J)まずはこのような機会をいただいたので、最大限に一生懸命プレーして、チームの勝利に貢献すること。あとは自分の成績よりもチームの勝利ということを一番に考えて、そういった姿を見せていきたいと思います。

──数字的な目標は?

(J)最終的な数字というよりは、毎試合毎試合、集中するというのが自分のスタイルなので、特に数字は考えていないです。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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