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清原騒動の質問も。サンウルブズのリーダー格・堀江翔太、新たな挑戦に。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ワールドカップイングランド大会中の堀江。相手をかわすランも持ち味のひとつ。(写真:アフロ)

【タイトル】

世界最高クラスのリーグ戦であるスーパーラグビーに、今季から日本のサンウルブズが参戦する。

2月の開幕に向け12月から始動するチームが多いなか、初顔合わせから約4週間で初戦を迎える。厳しい状況とされるなか、「選手次第」と決意を明かしたのは堀江翔太。昨秋のワールドカップイングランド大会で3勝を挙げた日本代表でも副キャプテンを務めたフッカーだ。大らかな口調で「あちこちへ顔を出したい」と、チームの基盤づくりに意欲を示す。

2013年から2季連続でレベルズに在籍と、若きチームにとって貴重なスーパーラグビー経験者である。国内所属先のパナソニックではキャプテンを務め、サンウルブズでも中核を担うことが期待されている。

都内でのメディカルチェックに合流した2月5日、共同取材に応じた。スタッフから「10分をめどに」とされたインタビューの間、新しい環境から好きな音楽についてなど、話題は多岐に及んだ。

このほど覚せい剤所持や使用の容疑で逮捕された、元プロ野球選手の清原和博氏に関する質問も受けた。違法薬物への厳しい態度を示しながらも、「追い詰められていたのでは」と人の心を慮る言葉も残した。

以下、5日の一問一答の一部。

――サンウルブズのキャプテン、就任ですか。

「いや、まだ話はしてないですよ。一応、気持ちは作っておこうかなと思ってますけど。違う選手が(キャプテンに)なっても、チームが勝つためにどうしたらいいのかに関わっていけたらいいかなと思ってますね」

――マーク・ハメットヘッドコーチはニュージーランド代表フッカーですが。

「ラグビー面については、まだ話してないですね。選手と話をしてくれるような、オープンな感じだった。チームを作るうえで、色々と話していけたらと思います」

――1対1のミーティングでは。

「僕も30になった。おじさんの域に入ったので。シーズンをずっと長い間やってきたということもあって、身体とメンタルをどうコントロールするかという話でした。もしきつければ言ってくれ、という感じでした」

――(当方質問)コンディション、よくないのですか。

「背中の部分が…。大分、よくはなっているんですが、この時期はずっとトレーナーと一緒におれてないので、名古屋に入ったらガッツシ治療もしていきたいと」

――サンウルブズ入りの背景。

「(昨夏の日本代表の)合宿中、(選手の)人数が集まらなかったら、(参戦を表明していた日本チーム。後にサンウルブズと命名される)なくなるという話があった。それはちょっと違うんじゃないか、と。日本協会(および運営組織のジャパンエスアール)が準備せずに『皆、来るだろう』と思っていたら…みたいなことを明るみにすると、SANZAR(スーパーラグビーの統括団体。当時名称)は一生、日本を(スーパーラグビーに)入れてくれなくなる感じがあった。それでは、若い子たちが世界と触れ合いにくくなる。僕も大分、それで苦労したので(帝京大学卒業後にニュージーランド留学も、地域代表にも入れず)。僕が子どもの時にJリーグができてヴェルディに入りたいと思ったように、中高校生がサンウルブズに入りたいと思うようになってくれたらいいかなと。それに(日本人のスーパーラグビー)経験者がバンバン外へ出て行ってしまったら、観ている人も『(サンウルブズには)誰もおらんやんけ』と思うでしょうし。

そんなにうまくいかないかもしれないし、辛いことも多いんでしょうけど、将来を考えるとプラスになることもあるのかなと。それで、ここを選びましたね。個人としても、最初からチームを作るなんて経験、なかなかできない。いままではでき上がったチームへ入っていたので」

――自身にとってスーパーラグビーは3シーズン目のチャレンジとなります。

「2年行っていたので、その経験を皆に話せれば。若い選手、スーパーラグビーに行っていない選手にも。ライオンズ(2月27日、東京・秩父宮ラグビー場での開幕節の相手)のことはまだ観ていないので、これから分析の人とも話していきたいですよね」

――他チームの日本人選手との対戦について。

「観ている人は、楽しいですよね。でも、僕らはチームとして戦っている。日本人がどうのこうのと思う余裕もないので、まずは1戦1戦、いい準備をする。自分らのスタイルを確立する。ライオンズ戦に向けてどうするかを、考えていきたいですね」

――(当方質問)国際経験豊富な選手として、このチームにどう関わりたいですか。

「あちこちへ顔を出したいですよ。戦術戦略、ブレイクダウン(肉弾戦)、アタック、ディフェンス…。もっとこうした方がいいみたいなことは、アドバイスしていきたい。そのなかで、コンタクトの部分とか、『(相手の守備を指してか)あそこが空きやすい』という話もしていけばいいかなと」

――(当方質問)『空きやすい』。何か、スーパーラグビー全体の傾向があるのですか。

「いや、何というか、(スーパーラグビーは)個々のコンタクトの強さはナショナルチームと一緒。ただ、僕のレベルズでの経験上、むちゃくちゃ凄い分析をしているわけではない。結構、個々の能力でやっている部分がある。それに対して、(サンウルブズは)チームでやっていければ」

――(当方質問)そこ(相手を分析する、チームのすべきことを理解し合うなど)が強みになりそう、ということですか。

「うーん、まぁ、準備期間も短いのでね。どこまでチームとしてまとまっていけるか、というだけ、ですよね」

――好きな音楽やミュージシャンについて(ラジオ番組の取材か)。

「試合前はKEMURI。バッと気持ちを上げたいので。スカ、好きなので気持ちが上がりますね。他にも色んなの聞きますよ。落ち着きたい時は、嫁も好きなaikoも聞きます」

――(当方質問)名前を挙げた方とは、ワールドカップ終了後にお会いしているようですね。

「そうすね、いまの人気に乗っかって(一同、笑う)」

――サンウルブズ、厳しい状況だが。

「いい試合ができればいいかな、と思ってるんですけどね。どのチームも、初めの年はうまいこといっていない。大きいことは、言わない感じですね。ただ、いい試合はする。まず(チームの)戦術戦略を知って、自分たちに合っているか合っていないかも見ないとだめで、頭に落とし込んで、選手に教えられるようにするまでどんだけ時間がかかるか…。選手次第。どうでもいいわと思ったら、もうお終い。選手1人ひとりがチームを作っていくという風には、したいですね」

――元プロ野球選手の清原和博が覚せい剤使用、所持の容疑で逮捕されましたが。

「あぁ、清原さん。僕は面識はないんですけど…。ラグビーに限らず、スポーツ選手は、皆から憧れられる存在であらなきゃいけない…。そういうことは、意識しなきゃダメですよね。…ただ、あそこに手を出すということは、何か、追い詰められていたんかなと思う部分もある。スポーツ選手やったら、横のつながりがあるだろうし、誰かに助けてもろうて、復活するとも思うんですけど。誰か、助けてあげて欲しいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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