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藤浪晋太郎が入団するA'sのローテーションは空きがいくつかあるものの…候補も多数

宇根夏樹ベースボール・ライター
藤浪晋太郎 MARCH 10, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 藤浪晋太郎は、オークランド・アスレティックスに入団するようだ。ESPNのジェフ・パッサンが、契約の合意を報じている。

 アスレティックスには、昨年、20試合以上に先発し、防御率4.30未満の防御率を記録した投手が3人いる。30先発で防御率3.98のコール・アービン、26先発で防御率4.23のジェームズ・カプリリアン、21先発で防御率4.28のポール・ブラックバーンだ。ちなみに、昨年、アスレティックスはア・リーグ最多の102敗を喫した。

 ローテーションの3枠は彼らで決まりだろうが、それ以外は未定だ。藤浪が数球団のなかからアスレティックスを選んだとすれば、契約の金額とポストシーズン進出の可能性よりも、先発投手として投げるチャンスの大きさが理由ではないかと思われる。

 ただ、藤浪のローテーション入りは、アスレティックスもそれを望んでいるはずだが、確定はしていない。先発投手の候補は、他にも多くいる。

 藤浪と同等、あるいは藤浪よりも期待されているのは、先月下旬に1年300万ドルで入団したドルー・ルチンスキーだろう。2018年を最後にメジャーリーグでは投げていないが、2019年から韓国のNCダイノスで投げ、4シーズン続けて30先発以上と防御率3.20未満を記録している。

 また、1ヵ月前の三角トレードで、正捕手のショーン・マーフィーをアトランタ・ブレーブスへ放出し、その見返りに得た一人、カイル・マーラーは、ここ2シーズンに11先発と1救援で防御率5.14ながら、同じスパンにAAAの40先発で防御率3.40を記録している。マーラーと同じ左腕のA.J.パックは、メジャーリーグではリリーフとして投げていて、昨年は62試合に登板したものの、先発再転向をめざし、スプリング・トレーニングに臨む。この2人は、どちらもプロスペクトと目されていた。

 他には、前年にメジャーデビューした、ケン・ウォルディチャックJP・シアーズエイドリアン・マルティネスアダム・オーラーも、候補だと思われる。アスレティックスが彼らを獲得したのは、いずれも、ローテーションを担っていた先発投手を手放したトレードだ。将来はローテーションに加わる可能性があると判断し、あるいは期待を込めて、手に入れたようにも見える。さらに、メジャーデビュー前の投手も含めれば、候補の人数はもっと多くなる。

 現時点において、アービン、カプリリアン、ブラックバーンに続き、ローテーションに並ぶ投手を予想するなら、アジアで投げてきた2人、ルチンスキーと藤浪が有力だろう。とはいえ、決まるのは、スプリング・トレーニングの終盤ではないだろうか。それまでの投球次第では、誰が加わり、誰が外れてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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