南極で過去最高気温を観測 17.5℃まで上昇
世界最低気温であるマイナス89.2℃は、南極のボストーク基地で観測されました。しかし一方近年では、南極で急速に氷山が融解し、また棚氷に大きな亀裂が入るなど、異様なことが起きています。
そのような中、今週世界気象機関(WMO)が、南極の気温上昇を裏付けるさらなる事実を公式に発表しました。
南極大陸史上、最高気温を観測
1日(水) WMOは、南極半島に位置するアルゼンチンの研究施設・エスペランサ基地が、2015年3月24日に17.5℃まで上昇し、これが南極における史上最高気温となったと発表しました。この気温は以前から報告されていましたが、今回WMOにより正式に認定されたのです(※)。
エスペランサ基地の夏の平均気温はおよそ0℃なので、約20℃も気温が高かったことになります。ちなみに同じ日、東京の気温は15.1℃であったので、南極は東京よりも暖かかったのです。
なお、1982年1月にはシグニー島で19.7℃が観測されていますが、これはエスペランサ基地よりも北に位置する南極地域(南緯60度以南)での記録です。
記録の原因
なぜこれほどの高温記録が出たのでしょうか。
当時エスペランサ基地には北西の風が吹き付けていました。北西といえば、冷たい風を想像するかもしれませんが、南極は南半球です。北ほど気温が高いために、北西風は暖かな風です。
また基地の風上には山があり、風が山を吹き降りる際に高温になって(フェーン現象)基地に吹き付けたのです。フェーンによって高温記録がもたらされるのはよくあることで、日本の史上最高気温となっている高知県・四万十市の41℃も、フェーン現象が一因でした。
そして、こうした一時的な気象現象に加えて、地球温暖化の影響が考えられます。
極地方は「カナリア」
極地方は「カナリア」に例えられることがあります。環境に敏感なカナリアが、その昔炭鉱夫たちに危険を知らせたように、温暖化の影響を受けやすい極地方での変化は、地球全体に大きな警鐘を鳴らしています。
もしも南極の氷がすべて溶けた場合、海水面は60メートルも上昇するという試算もあるほどなのです。
(※3月2日追加いたしました)